(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●国内外のマクロ環境を踏まえると年明けしばらく上値は重いものの年後半にかけ上昇余地拡大へ。

●2023年12月末の着地水準は、日経平均株価が32,500円、TOPIXは2,330ポイントを予想。

●1つのリスクシナリオだが日銀の政策決定が波乱要因となれば円急騰で株価は予想比下振れも。

国内外のマクロ環境を踏まえると年明けしばらく上値は重いものの年後半にかけ上昇余地拡大へ

2023年の日本株を展望するにあたり、はじめに国内外のマクロ経済の見通しを確認します。弊社は2023年の世界経済について、米欧を中心に利上げの累積効果が顕在化し、成長率は2022年の前年比3.2%から同2.5%へ減速するとみています。ただ、多くの国で「ウィズコロナ」の生活様式が浸透し、財政政策(資源高の影響を和らげるための補助金など)も実施されていることなどから、世界的に深刻な不況に陥ることは回避されると考えます。

 

2023年の日本経済は、海外の景気減速で成長率はいったん鈍化するものの、年後半は米国、ユーロ圏、中国などで景気が持ち直し、成長ペースは回復に向かうと見込んでいます。実質GDP成長率は前期比年率で、2023年1-3月期が+1.7%、4-6月期が+0.6%、7-9月期が+0.8%、10-12月期が+1.5%の想定です。マクロ環境を踏まえると、日本株は年明け以降、しばらく上値の重い展開が予想されますが、年後半にかけて上昇余地が広がると思われます。

2023年12月末の着地水準は、日経平均株価が32,500円、TOPIXは2,330ポイントを予想

次に、2023年の日本株について、弊社の見通しをご紹介します。基本的な見方としては、日本株は世界経済の成長減速を主因に、しばらくレンジ相場が続くものの、その後は世界経済の持ち直しとともに、相場は回復に向かうというものです。具体的な数値は【図表】の通りで、2023年12月末の着地水準は、日経平均株価が32,500円、東証株価指数(TOPIX)が2,330ポイントです。

 

(注)2022年12月20日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想 (出所)三井住友DSアセットマネジメント作成
【図表】2023年の日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)の見通し (注)2022年12月20日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想
(出所)三井住友DSアセットマネジメント作成

 

TOPIXの2,330ポイントは、2023年12月末時点での12ヵ月先予想1株あたり利益(EPS)を180.6ポイントと想定し、株価収益率(PER)を12.9倍で算出しています。参考までに、先週12月21日時点での12ヵ月先予想EPSは159.82ポイント、PERは12.3倍でした(いずれも市場予想)。また、日経平均の32,500円は、日経平均をTOPIXで割って算出するNT倍率の直近値を参考に、13.95倍と想定して算出しています。

1つのリスクシナリオだが日銀の政策決定が波乱要因となれば円急騰で株価は予想比下振れも

12月23日付レポート『2023年の「米国株」見通し』では、2023年を通じた米国株の動きとして、1-3月期は「一進一退」、4-6月期は「持ち直し」、7-9月期は「横ばい」、10-12月期は「一段高」を、1つの見方として紹介しました。日本株も、これに近い動きとなる展開は十分考えられ、特に10-12月期は、翌年の米利下げ開始と世界景気の更なる回復を織り込む形での一段高が想定されます。

 

ただ、注意すべきは日銀の金融政策です。弊社は日銀が2023年6月にマイナス金利を解除する一方、長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)は継続するとみていますが、市場との対話が不十分なまま政策が変更された場合や、YCC撤廃に追い込まれた場合などは、ドル安・円高が急速に進み、日経平均、TOPIXとも2023年12月末の予想値を大きく下回ることも想定され、1つのリスクシナリオとしてみておく必要があると考えます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2023年の「日本株」見通し【ストラテジストが解説】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

 

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●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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