ぶどう膜炎の原因として全国的には全く名前の挙がらない疾患が、宮崎ではトップに
すると、驚くべきことが分かりました。ぶどう膜炎を引き起こす原因疾患のトップは、全国調査ではランキングにまったく名前の挙がっていない「HTLV‒1ぶどう膜炎」だったのです。
全国調査ではランキングのどこにも挙がっていない「HTLV‒1ぶどう膜炎」という病気が、全体の17.7%もの割合を占めていたのです。また、3位にはさらに「トキソプラズマ症」という、これも全国調査では上位に名前の出てこない原因疾患が挙がっていました
[図表2]。
宮崎以外でも関東・関西で増加傾向にあるウイルス
世界では3,000万人以上の感染者がいると言われていて、日本でも約100万人の感染者がいると推定されています。感染者数でみれば、B型肝炎やC型肝炎に匹敵する人数であり、決して少なくない人数の感染者数がいるわけです。
HTLV‒1は、感染力が極めて弱いウイルスのため、日常生活では感染しません。主な感染経路は、HTLV‒1に感染したお母さんの母乳を飲んで赤ちゃんが感染する母子感染や性交渉による感染、輸血による感染などです。
なお、1986年以降は、輸血する血液がHTLV‒1に感染しているかを調べるようになったため、現在では輸血による感染はなくなっています。
このウイルスに感染しても、約95%の人は生涯病気にはなりません。しかし、ごく一部の人は成人T細胞白血病やHTLV‒1関連脊髄症、HTLV‒1ぶどう膜炎などを発症することがあると知られています。
また、このウイルスは、特定の地域に多い傾向があることが知られています。世界各地でHTLV‒1の感染が多い地域が報告されています。日本においては、近年は関東や関西などの大都市圏で増加傾向にあることも判明しています。