「福岡」の業務特性・開発動向・オフィスマーケット
オフィスマーケット対象ビル 調査概要
・オールグレード:オフィスエリアに所在する、延床面積1,000坪以上の新耐震基準に準拠したオフィスビルを対象。
・大型ビル:オフィスエリアに所在する、基準階300以上、または延床面積10,000坪以上の新耐震基準に準拠したオフィスビルを対象。
想定成約賃料(共益費込)
・新規賃貸借契約における想定成約賃料であり、CBREの根付に基づく推定値。募集賃料、契約更改時の継続賃料等は対象外。
・中層階にて1フロアを賃借したケースを想定。
・共益費を含み、フリーレント等インセンティブ分を加味しない賃料。
福岡県の県庁所在地であり、九州地方の政治、経済、文化の中心である福岡市は人口では全国7位、事業所数7位である。東京から飛行機で1時間半、大阪から1時間強の距離に位置する。
九州随一の経済都市であることや、アジアへの近接性といった地理的条件が評価されていることに加えて、若い労働力人口の増加も拠点展開の魅力を集めている。「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」といった福岡市が進める再開発促進事業のもと、天神周辺や博多駅周辺では老朽化ストックの建替プロジェクトが数多く進行しており、ストックの刷新とともにさらなる業務集積が見込まれるエリアとなっている。
2001年~2021年 オールグレード新規供給:約163,000坪
1年あたり平均:約7,800坪
福岡最新オフィスマーケットデータ
福岡の賃貸オフィス市場を一言で表現するなら、そのタイミングの悪さ。高さ制限のため、さほど開発が多い都市ではなかったが、2003年のりそな銀行国有化など金融不安の直後、2008・2009年のリーマンショック直後と大量供給が重なり市況を悪化させてきた。そして今回、コロナ禍真っ只中の竣工ラッシュ。それを毎回克服してきたのが、福岡の底力ともいえるだろう。
■福岡マーケットサマリー
今期(2022年6月期)の大型ビルの空室率は、対前期(同年3月)比+0.3ポイントの2.3%となった。オールグレードでは同+0.2ポイントの2.8%。リモートワーク導入を理由とした解約により空室が発生した。コロナ禍以前と比べて、空室在庫は増えている。そのため、以前よりもテナントは時間をかけて移転先を選ぶ傾向がみられる。その結果、成約までに時間がかかり、空室が顕在化しやすくなっていることも空室率上昇要因のひとつである。
想定成約賃料は、大型ビルで対前期比-1.0%の20,700円/坪、オールグレードは同-0.4%の16,110円/坪。空室が長期化していたり、駅から距離があるビルを中心に賃料が引き下げられている。過去10年の年間平均供給量5,500坪に対し、2022年は2万坪の新規供給が予定されている。また、同年の新規供給は年後半に集中している。
そのため、2022年後半から空室率の上昇ペースは加速し、2023年6月期には5.9%を予想する。2023年9月期から2024年9月期にかけては新規供給が比較的少ないため、空室率は6%前後で推移すると見込んでいる。しかし、2024年12月期には再び1.5万坪の大型の新規供給が予定されている。このため、空室率は再び上昇し、2025年末には8.3%を予想する。今後は需給バランスの緩和が見込まれるため、想定成約賃料は緩やかな下落が続く見通し。2025年末の賃料は今期に対し8.6%の下落を見込んでいる。
2009年9月から現在に至る想定成約賃料レンジにおける現在のポジションだが、各セグメントでほぼ上限近くにあるものの、大型ビルにおいてはピークアウトした後の賃料相場の下落幅が大きい。今後立ち上がってくる新築大型ビルが、先行き不透明なコロナ禍の福岡の賃料相場に、どのような影響をおよぼすのか、今後注視していく必要があるだろう。また、博多駅周辺と天神とのエリア間での相場差が大きいことも、福岡オフィス市場の特徴といえる。
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