前回は、賃貸マンション経営で物件の「差別化」を図る重要性をお伝えしました。今回は、賃貸マンションを差別化するための具体策を説明します。

ハード面での差別化は、物件の価値を確実に上げるが…

物件を差別化するための具体策はどうすればいいでしょうか? 方法は次の二つです。

 

●ハード面での差別化

●ソフト面での差別化

 

ハード面を差別化するためにはまず近年の入居者ニーズを分析し、それに応える物件を企画して建築します。デザイナーズマンションもそうですし、最近ではゴルフ練習場付き賃貸マンションまで登場しています。ゴルフ好きにはたまらないマンションといえるでしょう。

 

そのほか、防音設備が整った賃貸マンションの場合、音大生にとっては価値が高いといえます。

 

ピアノや管楽器などを演奏する場合、通常のマンションでは大きな音を出せないため、個人で練習する際はスタジオを借りるか、管楽器の場合は河川敷に行くなどしなければなりません。スタジオを借りるとお金がかかりますから、防音設備の整った自宅のマンションで練習できるメリットは計り知れません。

 

このようにハード面での差別化がなされている場合、そこに価値を感じて入居を希望する人がいるため物件の競争力は高まります。さらに価値が価格を引き上げ、家賃を高く設定することも可能となります。

 

ただし、ハード面の差別化のほとんどは建築時に可能な対策です。建ててしまったあとの場合、再投資をしてリノベーションをしない限り、実際には難しいといえます。

入居特典など、ソフト面での差別化を図ることも可能

そこで二つ目、ソフト面での差別化です。たとえば入居者パーティを定期的に催している賃貸マンションがありますが、入居者に喜ばれるかどうかは別にして、ソフト面の付加価値をつけているという点で面白い企画でしょう。

 

あるいは、更新のタイミングで入居特典をプレゼントするというのもソフト面での差別化といえます。この場合、物理的な工事をする必要がないため、建ててしまったあとでも問題ありません。

 

この意味で考えると、「0円賃貸」も、ソフト面で差別化する画期的な商品といえます。入居時費用を家賃以外ゼロ円にする、たとえば6万円の家賃の物件の場合、入居者は初回家賃の6万円を支払うだけで入居が可能です。初期費用の負担を減らすことで他の物件と大きく差別化し、価値を引き上げて物件競争力を高めているのです。

 

「入居時費用が家賃以外すべてゼロ円」

 

入居希望者にとって、大変魅力的なキャッチフレーズではないでしょうか? この0円賃貸のメリットは、あくまでソフト面の差別化、つまり「企画」だということです。

 

物件価値を高めるために再投資をするとなると、初期投資に加えて工事の負担が発生します。しかし0円賃貸は「企画」なので、繰り返すように物理的な負担なく導入し、物件の価値と競争力を一瞬で高められます。

 

初期投資も必要なければ、物理的な工事も必要ない。それでいて入居希望者にアピールする圧倒的な「売り」がある。これは非常に大きなメリットだと考えています。

本連載は、2015年12月10日刊行の書籍『入居希望者が殺到する驚異の0円賃貸スキーム』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

入居希望者が殺到する 驚異の0円賃貸スキーム

入居希望者が殺到する 驚異の0円賃貸スキーム

池田 建学

幻冬舎メディアコンサルティング

大家が抱える最も悩ましいリスクは空室だが、これまで賃貸不動産で客付けをしようと思えば、「家賃を下げる」「リノベーションなどをして付加価値をつける」「広告料を仲介会社に多く払う」方法しかありませんでした。 にもか…

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