※画像はイメージです/PIXTA

M&Aの最初のプロセスとなるソーシング。ターゲット企業を選定し、さらにターゲット企業との交渉を行う段階となります。詳しくみていきましょう。

M&Aの相手を選び、打診

仲介会社と契約を結び必要な資料を提出した後、買い手企業の選定や打診を行うのは仲介会社です。あなたの会社で実施するのは、作成された資料の確認や、秘密保持契約の締結などで、基本的には報告を待つ段階といえます。

 

ただし、全て仲介会社に任せきりではいけません。目的や目標を実現できるM&Aを実施できるか、常にチェックが必要です。

ロングリスト、ショートリストの作成

まず仲介会社が実施するのは、『ロングリスト』の作成です。M&Aの買い手企業候補を20~30社ほどピックアップした一覧をロングリストといいます。中には100社前後のリストを提示する仲介会社もあるでしょう。

 

ただしロングリストのままでは、十分な情報を集め検討するのに時間がかかり過ぎてしまいます。そこでロングリストをもとに、より詳細な情報を記載する『ショートリスト』の作成が必要です。

 

基本的な企業概要はもちろん、事業内容・ビジネスモデル・業績などの情報も分かるようにした資料です。また買い手企業候補を挙げるだけでなく、M&Aの目的をもとにアプローチする優先順位も決めておきましょう。

ノンネームシートで相手の反応を確かめる

『ノンネームシート(ティーザー)』の作成も、仲介会社が実施するサポートの一つです。M&Aの買い手企業候補に打診するとしても、情報流出のリスクを避けるため、この段階では売り手の社名を出せません。しかし買収の打診をするときには、売り手の情報が必要です。そこで社名を伏せたノンネームシートを活用します。

 

ただし社名が出ていないだけでは、記載されている情報で売り手を特定される可能性があります。売り手を特定されない範囲で、特徴や魅力が伝わりやすいように作成しなければいけません。仲介会社ではこのバランスが取れたノンネームシートを作成し、買い手企業候補へ提示して反応を確認します。

NDA締結とネームクリア

ノンネームシートを見てM&Aに興味を持った企業に対しては、秘密保持契約(NDA)を締結後、社名も記載されている、より詳細な資料を提示します。『ネームクリア』と呼ばれる段階です。

 

社名はもちろん、社内のさまざまな情報が分かる資料のため、万が一情報漏えいが起きると大きな影響が及ぶでしょう。そのためネームクリアの実施時には、NDAの締結によって責任の所在をはっきりさせなければいけません。

交渉のベースとなる企業概要書を開示

M&Aを進めるには、買い手に売り手会社の正しい情報を知ってもらわなければいけません。そこで『企業概要書』を開示します。企業概要書に記載される内容は、下記が代表的です。

 

・企業概要

・強み・弱み

・事業内容

・事業のフロー

・社内のキーパーソン

・取引先

・財務状況

・保有資産の状況

 

このほかに業界特有の必要な情報があれば記載します。仲介会社へ企業概要書の作成を依頼すると、自社では『当たり前』と考えていたことが強みだと分かるケースもあり、より効果的に買い手へアピールできるでしょう。

 

企業概要書のデータは交渉の前提となるものです。買い手が正しい判断をできるよう、必ず正確な情報を開示しなければいけません。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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