米国とヨーロッパの中央銀行がさらなる利上げに踏み切り、市場は警戒ムード。中国の追加経済政策への期待から、香港株は反発

米国とヨーロッパの中央銀行がさらなる利上げに踏み切り、市場は警戒ムード。中国の追加経済政策への期待から、香港株は反発
(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 19,450.67 pt (+0.42%)
中国本土株指数 6,634.75 pt (+0.66%)
レッドチップ指数 3,688.23 pt (+0.96%)
売買代金1,360億3百万HK$(前日1,056億2万HK$)

米国と欧州中央銀行が揃って小幅に利上げ

14日に米FOMCは予想通り0.50%幅の利上げを実施、続く15日には、欧州中央銀行 (ECB)が政策金利であるECB預金金利を0.50%幅で利上げし2.00%とした。米FRB同様に過去の大幅利上げから上げ幅は縮小したが、ラガルドECB総裁は、インフレ警戒に対する姿勢を維持し、政策判断が転換したと受け止めることは誤りであると明言した。

 

この発言からもインフレとの闘いは長期戦であることは明白であり、利上げが一定期間続き、米国同様に継続的な政策金利の引き上げが適切になるとの見通しが示唆された。もちろん高金利水準が長期化されれば経済の成長鈍化も懸念される。


ただ市場では僅かな金利上昇にとどまっている。リセッションが強く懸念される格好となった。

 

昨日発表された11月の米小売売上高や鉱工業生産は市場予想に反して低下したことで、米主要3指数は約1ヵ月ぶりの安値を付けた。

 

経済指標はここ数ヵ月間、軒並み市場予想に反して低下したため、急ピッチな利上げに歯止めがかかるのではとの憶測が市場を下支えしてきた。

 

しかし、ここにきても各主要中銀のインフレ圧力は根強く、継続する可能性が高いとの共通認識を示している。今後の展開は、インフレ率の落ち着き方次第であるが、FOMCと金融市場のシナリオには乖離がある。注意が必要だろう。

香港ハンセン指数は反発

16日の香港市場は朝方、前日の米国市場が大幅反落したことで安く寄り付き、ハンセン指数は一時1%強売られる場面もみられたが、中国経済対策の期待からプラスに転じるなど、値動きの荒い動きとなった。

 

15日から開催されている中央経済工作会議では最終日の明日に、声明が発表される予定。経済目標の達成に向けて、さらなる経済対策が期待されている。

 

また、来週20日には、実質的な政策金利であるローンプライムレート(LPR)が改定され、引き下げ観測も強まっている。住宅ローンの引き下げなど、不動産を下支えする政策が追加される可能性が、取り沙汰された。

 

不動産株で構成されるハンセン不動産指数は前日3.26%高と更なる刺激策の期待でアウトパフォーム。不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は6.9%高。不動産開発の碧桂園(2007)は5.9%高、融創服務(1516)は3.4%高と上昇した。

 

ハイテク株で構成されるハンセンテック指数はは0.31%高。自動車株が上昇し、自動車メーカーの吉利汽車(0175)は3.0%高、新興EVメーカーのNIO(9866)は2.1%高、理想汽車(2015)は1.7%高、小鵬汽車(9868)は1.6%高で引けた。

 

一方、ITネット株は下落し、クラウドサービスの金蝶国際集団(0268)は6.9%安、動画配信のビリビリ(9626)は2.5%安、高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は1.5%謝す、人工知能開発のセンスタイム(0020)は0.9%安と下げた。

 

中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.02%安の3,167.86、CSI300は0.06%高の3,954.23で引けた。このところもみ合いのまま、一進一退の動きが続いており、政策への期待が相場を支える展開が続く。上海総合指数は週間で1.22%安だった。
 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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