(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 19,352.81 pt (▲0.50%)
中国本土株指数 6,604.62 pt (▲0.45%)
レッドチップ指数 3,644.52 pt (▲1.19%)
売買代金1,006億7百万HK$(前日1,360億3万HK$)

中国の中央経済工作会議が閉幕

中国政府は16日閉幕した中央経済工作会議で金融・財政政策による景気刺激と、民間企業の支援を強化していく方針を決めた。

 

2年半にわたって厳格な感染抑制措置がとられていたが、経済に悪影響を与えたことを認識し、来年は経済成長を優先して国内消費と投資を拡大することを最優先課題に掲げた。

 

今年の中国経済のGDP成長率はわずか3%にとどまる見通しであり、約50年ぶりの低成長になると見込まれている。来年の経済成長率は5%前後まで回復するとの楽観的な見通しはあるが、景況感が好転するまでには時間を要する可能性も高い。

 

来春で首相を退く李克強氏から景気対策の実務を率いる李強氏の経済へのかじ取り政策に期待がかかる。

 

新型コロナウイルス感染に関しては、当局は新たな段階の感染対策を実行することを表明し、高齢者へのワクチン接種推進による感染防止や重症化阻止などにシフトするウィズコロナ方針を進めて、行動抑制策からは距離を置く方針に転換した。

 

しかし、感染拡大への懸念は根強い。PCR検査体制が縮小したことで、感染者数(無症状を除く)は2,000人前後に減少しているものの、実体は感染が拡大しているとの指摘も多い。

香港ハンセン指数は下落。医薬品銘柄などが大幅安に

週明け19日の香港市場は、中国当局が前述した企業の政策支援や不動産市場への追加支援を示唆したことでハンセン指数は朝方、1.6%強まで上昇する場面がみられた。

 

その後は、下げ幅を拡大し前日比0.50%安と約2週間ぶりの安値で引けた。週末の米国市場でもFRBがインフレ抑制に向けた金融引き締めの長期化を理由に、景気後退を招くのではとの観測も強まり、株式市場の地合い悪化を招いた。

 

今月に入って大きく買われていた医薬品銘柄が大幅安。薬品メーカーの山東新華製薬(0719)は12.7%安、オンライン医療サービスの阿里健康 (0241) は8.2%安、製薬会社の先声薬業(2096)は7.9%安と大きく下げた。

 

中国の感染拡大懸念も強まりカジノ関連も売られ、大手カジノのMGMチャイナ(2282)は13.4%安、新濠国際発展(0200)は11.1%安、カジノ運営サービスのマカオ・レジェンド(1680)は10.6%安、永利澳門(1128)は9.2%安と下げた。

 

一方、大手ネット株が買われフードデリバリーの美団(3690)は1.6%高、クラウドサービスの金蝶国際集団(0268)は1.6%高、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382)は1.5%高、動画投稿サイトの快手(1024)は1.2%高だった。

 

中国本土株市場は、上海総合指数が前日比1.92%安の3,107.12と3日続落、CSI300は同1.54%安の3,893.22で引けた。

 

感染が拡大して事態が深刻化していると言われる北京市内ではコロナ関連の死者が急増したとの報道もあり、実体の把握ができない状況が不安を増幅している。中国各地では医療体制がひっ迫し始めているとも伝えられており、行動抑制策への揺り戻しも含めて、懸念が増大、本土株式市場は売り先行となった。

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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