世界的なインフレによって金融市場は不安定な状況が続いています。この歴史的なインフレはいつまで続くのか、先の見通せないインフレ環境下、どのように運用すればよいのか……。世界有数の資産運用会社、アライアンス・バーンスタイン株式会社のシニア・インベストメント・ストラテジスト、穂谷 栄一郎氏が解説します。

インフレ時に魅力的な企業とは

――このような企業は材料費が上がってインフレになっても前向きに値上げができる、つまり業績を上げられるわけで、投資する際はそういう企業に投資したほうがよいということですね。しかし、逆に値上げによって消費が低迷してしまうのではないですか?

 

穂谷「確かにそうですが、企業が値上げして儲かって従業員の給料も上がればいいと思います。図表3をご覧ください。

 

あ
[図表3]アメリカの平均時給の伸びと物価の上昇率 過去の実績や分析は、将来の成果などを示唆・保証するものではありません。
期間:2006年1月~2022年8月
出所:リフィニティブ、AB

 

アメリカの平均時給の伸びと、エネルギー、食品を除いたコアPCE、物価の上昇率を示しています。米国ではおおむね、賃金の伸びが物価の上昇率を上回っています。つまり「購買力」という、物が買える力が維持されています。

 

一方、日本や欧州のように、物価の上昇が賃金の上昇を上回っていると買い控えが起きてしまいます。米国の場合のように、購買力が維持されていれば消費は比較的堅調に推移すると思われます」

 

――ここが米国の強みの1つで、好循環が生まれているわけですね。おっしゃる通り、日本では物価は上がっていますが賃金は上がっていないですね。

 

穂谷「ここは岸田政権に頑張っていただきたいところですが、企業に物価上昇により賃金を上げるように促しています。しかし残念ながら、現状として物価の上昇に賃金の上昇が追いついていません」

 

――日本企業も頑張ってほしいですね。

 

今後もインフレが続くのか不透明な状況ですが、それでも値上げできるような企業に絞りつつ、物価が上がっても購買力が維持できるような国の企業に投資をしておけば、インフレに対して資産を守ることができそうです。

 

<<<【AB's Market Tips】#1 どうなるインフレ?資産を守るには?>>>

 

 

アライアンス・バーンスタイン株式会社

運用戦略部/責任投資推進室 シニア・インベストメント・ストラテジスト

穂谷 栄一郎

 

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【ご注意】
※本稿は、「【AB's Market Tips】#1 どうなるインフレ?資産を守るには?」を参考に、再編集したものです。詳細については当該動画をご覧ください。
本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタインポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスに関する過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。
当資料は、2022年10月28日現在の情報等を基にアライアンス・バーンスタイン株式会社が編集した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。
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