インフレ時に投資すべき資産とは
――インフレの見通しは難しく、今後も続く可能性もあるということですね。では今後どう備えていけばいいのでしょうか。
穂谷「ある程度インフレが続くとみる環境下では、一般的に株式がインフレに強い資産だといわれています。なぜなら、企業は値上げができるからです。
図表2をご覧ください。米国中小企業の価格転嫁の上昇と利益率を示しています。
このコロナ禍、青い線で示している通り、およそ七割程度の企業が値上げしています。しかも、利益率(黄色い線)も過去最高レベルです。原材料が値上がりしても製品やサービスの価格をその分上乗せ、さらにそれ以上に値上げできているということで利益率も向上しています」
――値上げもできて利益率も上がるなら株価も上がるということですね。つまりインフレ時には株式は優位ということですね。
穂谷「ただし、すべての株式がインフレに強いわけでもありません。このコロナ禍でも、値上げできずにいる企業はあります。そうした企業の株式を買っても恩恵は受けられません。値上げをしても消費者に支持される、付加価値の高い財やサービスを提供している企業かどうかをみることが重要です」
――そのような企業の例として、Amazonプライムは最近値上げしましたよね。しかし値上げしたとはいえ会員数が減ることはなく、むしろ増加していると聞いています。
同じような例では、コストコも会員費こそ値上げしていませんが、インフレでさまざまな商品が値上がりしています。それにも関わらず、顧客数は以前と変わらずお店に殺到しているように思います。日本でも、よくテレビで特集していました。
穂谷「おっしゃる通りです。また、皆さんご存知のiPhoneも値上げをしています。Appleは、半導体の製造を依頼している台湾の企業、台湾セミコンダクターの値上げを受け入れています。もちろん昨今の半導体不足もありますが、それ以上に、Appleが要求するレベルの半導体は、台湾セミコンダクターなどの限られた半導体企業しか作れません」