(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 19,900.87 pt (+2.32%)
中国本土株指数 6,834.21 pt (+2.51%)
レッドチップ指数 3,704.51 pt (+3.41%)
売買代金1,994億5百万HK$(前日1,606億9万HK$)

消費者物価指数の低水準から、さらなる金融緩和に期待

中国本土では新型コロナウイルス防疫政策の転換に加えて、更なる経済対策の期待が高まっている。今月6日に開催された中央政治局会議では、来年3月に予定される全国人民代表大会に向けて、経済成長目標を含むさまざまな政策が検討されたと伝えられている。

 

政治局会議では、新型コロナウイルス感染の拡大に伴い、生産抑制や移動制限が導入された影響で経済にとって大きな打撃を受けたことを確認したうえで、感染抑制対策を最適化し、経済発展を目指すことを表明した。

 

今後、15日に開催される中央経済工作会議で政策の具体化が検討される段階に移るが、そこでより経済成長を重視するために、さらに景気刺激的なアプローチが示される可能性が高いとみられる。

 

共産党大会では、来年2023年内に成長路線に回帰することを目指すと表明しており、一部では、来年の経済成長率目標を5%前後に設定することが検討されるとも報じられた。

 

このところ足元の経済指標には軟化の傾向が目立つが、当局者は支援強化の姿勢を明確にしており、政権の危機感が露わになってきている。

 

中国の消費者物価指数(CPI)が世界と比べて低い水準であることも、さらなる金融緩和の期待につながっている。中国国家統計局が発表した11月のCPIは前年比1.6%上昇し、伸び率は前月の2.1%から鈍化、8ヵ月ぶりの低い水準となった。

 

生産者物価指数(PPI)は前月と変わらず前年比1.3%減と2ヵ月連続のマイナス成長となった。消費者心理の悪化が経済を圧迫しているのは間違いない。

 

(中国CPI)

 

(中国PPI)

 

ここ数日の急ピッチな対応が吉と出るか凶と出るかでことの重大性は変わってくる。足元の本土の感染者はピークから減少傾向が続いており、8日は計2万人割れを記録した。

 

PCR検査の義務が撤廃されたことも要因と考えられる。一方で、今後見込まれるコロナ感染急増で再び混乱を招く事態は避けたいところだ。

香港市場は連日の大幅高

9日の香港市場は前日に続いて続伸した。ハンセン指数は序盤に一時下げに転じたもの、切り返すと一本調子で上げ幅を広げ終値ベースでは約3ヵ月ぶりの高値を付けた。同指数の週間の上げ幅は6.6%高と他市場をアウトパフォームした。

 

不動産株で構成されるハンセン不動産指数は前日比9.93%高の大幅高。来週の中央経済工作会議で不動産政策のスタンスをさらに軟化させる可能性があると報道されたほか、中国証券監督管理委員会が不動産投資信託を活用した資金調達の支援に乗り出すとの期待が高まった。

 

不動産開発の龍光集團(3380)は41.1%高、中国・江蘇省の佳源國際(2768)は26.0%高、龍湖集団HD(0960)は18.5%高、中国海外発展(0688)は11.3%高だった。

 

ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は同2.33%高と週間で12.7%高だった。高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は10.6%高、オンライン読書サービスの閲文集団(0772)は8.0%高、半導体ファウンドリーの華虹半導体(1347)は6.8%高と上げ幅が目立った。

本土市場は不動産株中心に上げ幅を拡大

中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.30%高の3,206.95、CSI300は同0.99%高の3,998.24で引けた。不動産株中心に上げ幅を拡大し、上海総合指数は節目の3,200ポイントを回復した。来週からの一層の緩和策の発表に期待が高まる相場が続く。
 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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