「会社員だから、確定申告は不要」との認識は危険かも
【Q】 会社員なので確定申告はしなくて大丈夫ですよね?
【A】 人によっては確定申告が必要なこともあります
個人事業主や不動産オーナーは確定申告が必須。一方で、年末調整で所得税の精算ができる会社員は、原則として確定申告は不要です。ただし、副業をしている人や高収入の人は申告が必要になることも。確定申告することで税金が戻ってくるケースもあるので、しっかり確認しましょう。
◆確定申告が必須の人
□ 2つ以上の会社から給与をもらっている
□ 会社からの給与(年収)が2000万円超
□ 会社員で副業の稼ぎが経費を引いて20万円超
□ 公的年金を年400万円超もらっている
□ 個人事業主・フリーランスで事業所得・雑所得がある
□ 専業主婦で内職の稼ぎが経費を引いて20万円超
□ アパートや駐車場経営などの不動産収入がある
□ 投資や土地の売却などで儲けた
□ ふるさと納税をしたがワンストップ特例を使っていない
◆確定申告で税金が戻ってくる可能性がある人
□ 会社の年末調整で申告できなかった控除がある※
※ 生命保険料控除、小規模企業共済控除など
□ 年末調整をする前に会社を辞めた
□ 退職金を受け取ったが「退職所得の受給に関する申告書」を未提出
□ 令和4年に住宅ローンを借りてマイホームを購入した
□ かかった医療費が10万円超所定の市販薬代が1万2000円超
□ 自然災害や盗難などで家財等に被害を受けた
□ 原稿料や講演料などの収入があった
□ 事業、投資、土地の売却で損した
◆確定申告が不要の人
□ 会社員で年末調整済み・かつ他に受けたい控除もない
□ 副業の稼ぎが経費を引いて20万円以下
□ 公的年金の受給額が年400万円以下
□ 株で儲けたが特定口座(源泉あり)を使っている
□ 出産育児一時金や出産手当金、育児休業給付金をもらった
□ 失業給付や遺族年金、障害年金をもらった
※ 上記は主な条件で分類したもので、細かな条件により申告の要否等が変わる場合があります。
e-Taxを使えばオンラインで完結!
◆パソコン・スマホを使った確定申告の方法
本連載では手書きで申告する方法を解説しますが、パソコン・スマホを使って国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成する方法もあります。
※ 本記事制作時点では、まだ令和4年分の確定申告特集ページ等が公表されていないため、令和3年分のものを例示しています。最新情報は国税庁のホームページを確認してください。
「令和4年分 確定申告特集」 で検索! https://www.keisan.nta.go.jp
パソコン・スマホ申告は、画面の指示に従って選択・入力していけばOK。控除等の金額も自動計算されるので便利です。申告書を作成したら印刷して提出してもいいですし、e-Taxで電子申告すればオンライン上で作業が完了します。スマホ申告では、令和4年分から青色申告決算書・収支内訳書の作成が可能になる予定など、毎年利用範囲が広がり便利になっています。
【1】 上記URLのサイトにアクセスし、「確定申告書等の作成はこちら」を選択
【2】 国税庁確定申告書等作成コーナーで「作成開始」をクリック
【3】 確定申告書の提出方法を選択する(パソコン)
【4】 作成する申告書の年と内容を選択し作成を進める。スマホの場合は、ここで提出方法を選択
「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」
◆マイナンバーカード方式
マイナンバーカード対応のスマホかICカードリーダライタを使いe-Taxを利用する。スマホはiPhone7以降やAndroidの多くの機種が対応。「マイナポータルアプリ」を使ってマイナンバーカードを読み取る。
◆ID・パスワード方式
税務署で「ID・パスワード方式の届出完了通知」を取得してe-Taxを利用する。取得のために、顔写真付きの本人確認書類を持って税務署に行く必要がある点に注意(最速で即日取得可能)。
西原 憲一
西原会計事務所
税理士