(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産業者がせっかく優良な不動産物件を扱えても、その物件にまつわる複雑な法律トラブルがあると、物件が適正価格で売れず、依頼者の希望に添えないことがあります。そこで、せっかくのビジネスチャンスを失わないため有効なのが、法律の専門家である弁護士との「協業」です。そこで、弁護士として不動産関係の数々の法律問題を解決してきた実績をもつ鈴木洋平氏が、不動産業者と弁護士の協業について事例を交え解説します。

信託のメリットとデメリット

【事例4】で弁護士が提案した信託の内容は、Aさんの指示に従ってCさんが不動産の管理と処分を行うというものです。具体的には、Aさんが自宅不動産を売却する業務をCさんに託し、そこで得た現金をAさんとBさんの療養費に充てる、そしてAさんもBさんも死亡したときに余っていたらCさんが取得する、という契約をAさんとCさんの間で交わすことでした。

 

これをやっておくと、改めてAさんの了承がなくてもCさんが不動産の売却を最後まで実行することができるようになります。つまり、Aさんの意思疎通が困難になっても、または死亡しても信託をしておけばカバーできることになるのです。

 

信託はこのような制度のため、仮にCさんがAさんとBさんを裏切って売却金をCさん自身のために使ったとしても誰にも分からないことになります。

 

【事例4】の場合、AさんがCさんに対して全幅の信頼をおいていたこともあり、あえて提案しませんでしたが、託す人に不安があるときは第三者の監督人を指定しておくことも可能です。

 

 

鈴木 洋平

LTRコンサルティングパートナーズ

理事

 

不動産業者のための 弁護士との「協業」のすすめ

不動産業者のための 弁護士との「協業」のすすめ

鈴木 洋平

幻冬舎

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