牛丼チェーン店のイスにはなぜ背もたれがないのか?吉野家がこだわる「お客さんがくつろげない」工夫

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(※写真はイメージです/PIXTA)

「社会人のたしなみとして決算書を読めるようになりたい」と思っていても「実際には難しい」という声をよく耳にします。しかし、専門家を目指しているわけではないビジネスパーソンに必要なのは、会社が「儲かっているか」「つぶれないか」というシンプルな2つの要点を、決算書から読み取れるようになることです。銀行員、コンサルタント、M&Aアドバイザーと「決算書を読む」仕事に約30年携わってきた前田忠志氏が、わかりやすく紹介します。

資産を見れば、事業の特徴が浮き彫りになる

PL(損益計算書)は、「利益=収益−費用」。BS(貸借対照表)は、「純資産=資産−負債」。これが基本の式です。PLは、多くの人にわかりやすいものです。子どものころから、お小遣いをもらって、使って、残ったということをやってきました。「もらう、使う、残る」を「収益、費用、利益」と結び付けて感覚的に理解できます。

 

BSも、資産があって、負債があって、それを引くと純資産になるという説明をすれば、理解できるものです。BSとPLを関連づけると、ちょっと難しくなります。でも、BSとPLを関連づけられるようになると、決算書の理解がぐっと深まります。

 

総資産回転率 = 売上高 ÷ 総資産

 

売上高と総資産の比率である総資産回転率は、BSとPLの関連を示すもっとも基本的な数字です。BSにはさまざまな資産がありますが、それぞれの資産の残高も売上高とくらべることで、会社の特徴が見えてきます。それぞれの資産の残高は、一般的には1ヵ月あたりの売上高である月商とくらべます。

 

[図表2]

各資産に対する、月商の割合の“目安”を知るのがコツ

たとえば、売上債権は月商の2ヵ月分ぐらいになるのが標準的です。すべての売上代金を翌月末に受け取る会社なら、3月の売上分の代金を受け取るのは4月末です。3月末のBSには3月の売上分の売上債権が計上されます。月商の1ヵ月分です。翌々月末に受け取る会社なら3月末のBSには2月と3月で2ヵ月分の売上債権が計上されます。

 

もし、売上債権が月商の2ヵ月分より少なければ、現金売上の割合が多いのでしょう。月商の2ヵ月分より多ければ売上代金の受取まで時間のかかる取引条件なのかもしれないですし、回収が滞っている売上債権があるのかもしれません。

 

目安としては、現金預金も、売上債権も、棚卸資産も、ざっと月商の2ヵ月分ぐらいです。固定資産は月商の6ヵ月分ぐらい。だから、現金預金2ヵ月、売上債権2ヵ月、棚卸資産2ヵ月、固定資産6ヵ月で、合計12ヵ月です。

 

つまり、総資産は1年分の売上高と同じになり、総資産回転率1回になるわけです。たとえば、売上高が120億円の会社だったら、月商10億円ですので、BSの左側は、標準的には、次のようになります。

 

現金預金は、月商の2ヵ月分で20億円

売上債権は、月商の2ヵ月分で20億円

棚卸資産は、月商の2ヵ月分で20億円

固定資産は、月商の6ヵ月分で60億円

 

もちろん、実際の会社はこの通りにはなりません。目安の数字とくらべることで、会社の特徴をつかむことができるのです。

 

前田 忠志

公認会計士

 

※ 本連載は、前田 忠志氏の著書『「会社の数字」がみるみるわかる!決算書のトリセツ』(実務教育出版)から一部を抜粋し、再構成したものです

「会社の数字」がみるみるわかる!決算書のトリセツ

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前田 忠志

実務教育出版

「決算書を読めるようになるのは、実は、結構簡単です。英語、IT、会計がビジネスパーソンの3大スキルなんて言われていますけれど、コスパが高いのは、会計です。」 決算書の読み方に関する本は数多くありますが、途中で挫折…

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