(※画像はイメージです/PIXTA)

中小企業・個人事業主で利益が出ていると、年度末が近づくにつれ、決算対策が気になるものです。決算対策とされる方法はいろいろありますが、実際にメリットがある方法は限られています。そんななか、多くの中小企業・個人事業主にとって活用メリットがあり、すぐ着手できる方法の一つが「経営セーフティ共済」です。

経営セーフティ共済の活用メリットとは

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、月々の掛金を支払い、取引先が倒産して売掛金等が回収できなくなった際に、掛金総額の10倍まで借入ができる制度です。

 

運営母体は経済産業省が所管する「中小企業基盤整備機構(中小機構)」であり、大半の中小企業・個人事業主が加入できます(【図表】参照)。

 

【図表】経営セーフティ共済の加入資格(中小企業・個人事業主)

 

本来、経営セーフティ共済は、取引先の倒産に巻き込まれて自社も倒産する「連鎖倒産」を防ぐためのものです。しかし、もっぱら注目されているのは、この本来の役割とは異なる以下のメリットです。

 

・掛金全額・最大年240万円を経費計上できる

・3年4ヵ月(40ヵ月)以上加入するといつでも掛金全額を返してもらえる

 

まず、これらのメリットについて解説します。

掛金全額・最大年240万円を経費計上できる

まず、掛金は月5,000円~20万円の範囲で設定でき、これが全額経費に計上されます。最大で年240万円を経費に計上でき、そこにかかる税金の額を軽減できるということです。

 

掛金は原則として「月払い」の引き落としですが、向こう1年分を一括して振り込む「前納」を選ぶことができます。そうすると、いわゆる「短期前払費用」として、全額を経費計上する処理が認められています。

 

極端な話、年度末ぎりぎりに加入手続をして、掛金を前納して年度内に着金まで完了すれば、その年度の経費として計上できるということです。

 

ただし、次年度以降は何もしないと自動的に「月払い」になってしまうので、年度ごとに「前納」の手続きをとる必要があります。

 

40ヵ月以上加入するといつでも掛金全額を返してもらえる

次に、40ヵ月(3年4ヵ月)以上加入した後であれば、解約した際にいつでも掛金全額が「解約手当金」として返ってきます。

 

つまり、経費として出て行っていた掛金が簿外に貯められており、それが一気に返ってくるということです。

 

返ってきたお金(解約手当金)は利益(法人であれば雑収入、個人事業主であれば事業所得)として計上されます。そのままでは税金が課税されてしまいます。

 

すなわち、単なる「利益の先送り」ということです。

 

しかし、その年度に赤字が発生していた場合や、何か大きな経費を支出した場合には、プラスマイナスゼロとなり、最終的な「節税」と同じ効果が実現します。

 

経営セーフティ共済の最大のメリットは、お金を戻すタイミングを自由に選べるということです。

 

経営危機のときや、まとまった額の設備投資が必要なときに解約するのが効果的です。あるいは、そういったタイミングがなければ、自分自身が勇退して退職金を受け取るときに解約すればよいということです。

 

このように、掛金全額が経費に算入され、かつ、最終的に好きなタイミングで全額を返してもらえることから、決算対策としてメリットが非常に大きいといえます。

 

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