(※画像はイメージです/PIXTA)

中小企業・個人事業主で利益が出ていると、年度末が近づくにつれ、決算対策が気になるものです。決算対策とされる方法はいろいろありますが、実際にメリットがある方法は限られています。そんななか、多くの中小企業・個人事業主にとって活用メリットがあり、すぐ着手できる方法の一つが「経営セーフティ共済」です。

経営セーフティ共済のその他のメリット

経営セーフティ共済のメリットは、上述した「決算対策」だけではありません。特筆すべきメリットとして以下が挙げられます。

 

◆資金繰りが苦しくなったら借入ができる

上述の経営セーフティ共済のメリットを享受するには、掛金を最低40ヵ月、継続的に払い込んでいかなければなりません。その間に、資金繰りが苦しくなり、掛金の支払が負担になる可能性があります。

 

その場合、もし中途解約すると、以下の通り、掛金の一部しか返ってきません。

 

・1ヵ月~11ヵ月:0円

・12ヵ月~23ヵ月:掛金総額×75%

・24ヵ月~29ヵ月:掛金総額×80%

・30ヵ月~35ヵ月:掛金総額×85%

・36ヵ月~39ヵ月:掛金総額×90%

 

しかし、中途解約しなくても、掛金のうち一定割合の額を上限として、「一時貸付金」の借入ができます。借入の限度額は、掛金納付期間に応じて決まっており、以下の通りです。

 

・1ヵ月~11ヵ月:0円

・12ヵ月~23ヵ月:掛金総額×71.25%

・24ヵ月~29ヵ月:掛金総額×76%

・30ヵ月~35ヵ月:掛金総額×80.75%

・36ヵ月~39ヵ月:掛金総額×85.5%

・40ヵ月以上:掛金総額×90.25%

・掛金総額が800万円:760万円(95%)

 

借入の額は30万円以上であり、5万円単位で設定できます。また、利率は2022年12月現在、年0.9%です。

 

◆急なビジネスチャンスにも借入ができる

なお、「一時貸付金」の借入をするのに特に理由は不要です。資金繰りが苦しくなった場合に限らず、急なビジネスチャンスが到来したが金融機関の融資を直ちには受けられないなどの場合にも、利用することができます。

 

◆掛金の減額がペナルティなしでできる

どうしても経営が苦しい場合等には、最終手段として、掛金の減額を行うこともできます。減額が認められるのは以下のいずれかの場合です。

 

・事業規模を縮小した場合

・事業経営の著しい悪化、病気または怪我、急な費用の支出等により掛金の払込みの継続が著しく困難である場合

・借入金の貸付残高と掛金総額の10倍に相当する額との合計額が8,000万円に達している場合

 

また、減額した場合のペナルティはありません。

 

◆取引先の倒産による共倒れを防げる(本来の機能)

最後に、経営セーフティ共済本来の機能です。

 

中小企業・個人事業主の場合、取引先が限られていることがあります。その場合、もし、取引先が倒産し、売掛金の回収ができなくなると、資金繰りが苦しくなり、連鎖倒産してしまうリスクが考えられます。

 

経営セーフティ共済に加入していると、そういう場合、払い込んだ掛金の10倍まで無担保で借入をすることができるのです。

 

利子は取られませんが、その代わり、掛金全額が没収されることになります。しかし、担保をとられないこと、倒産せずに済むことを考慮すれば、決して不利益な数字ではありません。

 

ここまでお伝えしてきた通り、経営セーフティ共済は、決算対策に利用しやすく、しかも、その他のメリットのある機能があります。多くの中小企業・個人事業主にとってメリットが大きい制度ですので、ぜひとも加入することをおすすめします。

 

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