(※写真はイメージです/PIXTA)

非行少年の保護者には、親としての責任感に欠けた人々がいる一方で、子どものために一生懸命やってきたという人も少なくありません。出口保行氏の著書『犯罪心理学者が教える 子どもを呪う言葉・救う言葉』(SBクリエイティブ)より、親の「よかれと思って」が子どもの非行・犯罪につながる理由を見ていきましょう。

非行少年の親たちから何度も聞いた「よかれと思って」

親は子どものためを思って、「ああしなさい」「これはしてはダメ」とさまざまな声かけをするものです。人間は社会の一員として生活することが求められ、ひとりでは生きていけませんから、社会性を身につける必要があります。「人の物を盗(と)ってはいけない」「暴力をふるって人を傷つけてはいけない」といったことも、親が教えなければならない社会のルールのひとつでしょう。社会に出て困らないよう最低限のルールを教えるのは親の務めです。

 

私が見てきた非行少年の親の中には、あまりにも放任主義で親としての責任を放棄しているように感じる人が一定数いました。子どもが何か問題行動を起こしたとき、「子どものしたことであって自分には関係ない」「自分の責任ではない」という態度をとり続けるのです。こうした態度が子どもにいい影響をおよぼすわけがありません。

 

少年院に収容された非行少年の親について、少年院の先生(法務教官といいます)が問題だと感じていることを調査したデータがあります(図表1)。これによれば、もっとも問題とされているのは「子供の行動に対する責任感がない」(62.5%)。次いで「子供の言いなりになっている」(50.2%)、「子供の行動に無関心である」(49.1%)となっており、親の責任感の乏しさを問題として認識している先生が多いことがうかがえます。

 

出典:平成17年版犯罪白書「少年非行」(法務省)
[図表1]法務教官が感じる保護者の問題 出典:平成17年版犯罪白書「少年非行」(法務省)

 

子どもに対して社会のルールを教えることもせず、問題を起こしたときに「子どもが勝手にやったことだから知らない」という親のもとでは、子どもは責任について考えることができません。当然ながら更生への道も険しいものとなります。

 

一方で、「ああしなさい」「これをしてはダメ」といった、社会性を身につけさせるために言った言葉の数々が子どもをがんじがらめにし、非行へ向かわせていることがあります。

 

「よかれと思って」

 

非行少年の保護者から何度聞いたかわかりません。

 

子育てを放棄しているわけでもない、虐待をしているわけでもない、自分なりに一生懸命やってきた。子どものためを思って、よかれと思っていろいろな言葉をかけてきた。そう思っている親も多いのです。

 

「うちの子がまさかそんなことをするなんて…」

 

よかれと思ってしたこと・言ったことがいったいなぜ、非行・犯罪につながってしまうのでしょうか。

次ページ少年院まで行く子は「どうしようもないヤツ」なのか?

※本連載は、出口保行氏の著書『犯罪心理学者が教える 子どもを呪う言葉・救う言葉』(SBクリエイティブ)より一部を抜粋・再編集したものです。

犯罪心理学者が教える 子どもを呪う言葉・救う言葉

犯罪心理学者が教える 子どもを呪う言葉・救う言葉

出口 保行

SBクリエイティブ

その「一言」が、子どもを非行・犯罪へと向かわせる――。 親のよかれが危険な声かけになっていないか検証し、学力・人間力ともに優れ自律した子どもを育てる方法とは? 子育てに悩むすべての親を救う、人気教授の決定版…

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