IT企業から魚屋に転身した人気YouTuberが語る、SNSをビジネスに活用する本当の意義とは

IT企業から魚屋に転身した人気YouTuberが語る、SNSをビジネスに活用する本当の意義とは
(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載では、人気YouTubeチャンネル「魚屋の森さん」の運営者で、IT企業から実家の魚屋の後継者へと転身し、新しい視点でSNSをビジネスに効果的に活用している森朝奈氏が、著書『共感ベース思考 IT企業をやめて魚屋さんになった私の商いの心得』から、経営における「共感ベース」の仕事術や発想法について解説します。

YouTubeという入口から出口となるビジネスへつなげていく

YouTubeとSNSのいちばんの違いは、動画配信には表に出るキャラクターが必要なことです。写真と文字の投稿なら、発信者が「企業」という形のないものであっても成り立ちます。でもYouTubeで同じことをするのは難しい! 動画の場合、企業の理念も商品のPRも、画面に登場している「会社の中の人」の口から語られるからこそ興味をもってもらえるのだと思います。

 

私がYouTubeに出ているのも、魚や魚屋の仕事に興味をもってもらいたいからです。魚をさばく技術なら、父やベテラン社員のほうが私よりずっと上。料理だって、私の何倍ものキャリアをもつ職人さんにはかないません。「魚のさばき方」や「魚料理のコツ」を紹介するためなら、私以外に適任者がいるのです。

 

それでも私が表に出るのは、魚や魚屋の仕事を身近に感じてもらうためです。

 

「魚屋」というと、鉢巻きをした男性が大きな包丁で豪快に魚をさばく、というイメージがあります。「魚料理が上手な人」といえば、白衣の似合う熟練の職人さんを連想する人が多いでしょう。でも私は、そのどちらにも当てはまりません。

 

「いかにも魚屋」の父が魚をさばく動画は、魚好きな人には参考になるはず。ただし魚を扱った経験があまりない人には、「素人には無理そう」というイメージを与えてしまう可能性もあります。でも、魚屋のイメージがない私が家庭用サイズの包丁で魚をさばく動画なら、身近に感じてくれるかもしれません。魚のプロである父にはない目線からの解説も、私だからできることです。

 

ベテランの職人には見えない私が、家庭にあるもので魚料理をつくってみせれば、魚料理が実は簡単であることが伝わるはず。「あの人にできるなら、自分にもできるかも?」と、魚を扱うことのハードルが下がると思うのです。

 

私はYouTubeを、「魚にくわしい人だけが見る動画」とは考えていません。魚のことをもっと知りたい、もっと食べてみたい、と魚に興味をもってもらう「入口」の役割を果たすものにしたいと思っています。

 

次ページ「興味」と「商い」の架け橋となるのはSNS
共感ベース思考 IT企業をやめて魚屋さんになった私の商いの心得

共感ベース思考 IT企業をやめて魚屋さんになった私の商いの心得

森 朝奈

KADOKAWA

SNSでストーリーと信頼をシェア。「共感」からすべてが始まる! 代々鮮魚卸を営む一家に育った著者。女性が極端に少ない魚業界へ家業の2代目として飛び込み、YouTubeやSNSで「思い」をシェア。「魚好き」とつながりながら、…

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