そもそも「自信」とは何か
「自信」と聞いて、何が思い浮かびますか? デール・カーネギーらのスピーチの権威を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。あるいは、スケートボードやロッククライミングで華麗な技を決めるスター選手を思い浮かべる人もいるかもしれません。どちらも自信を連想させる例ではありますが、本当は自信が意味するものはそれよりずっと広く、華やかなものや目を引くものばかりではありません。
自信とは、「私ならできる」という反応だと考えてみてください。「たとえまだ未達でも、目標を達成できる」という信念、と言ってもいいでしょう。自信のある人は、自分の能力全般を信頼しています。「大きな目標に立ち向かえるし、失敗しても立ち直れる」と信じています。
いわゆる「自己効力感」とは異なります。自己効力感とは、ある分野のスキルに対する信頼です。たとえば、数学に関しては自己効力感が高くても、スポーツに関してはそうではない場合があります。自信はそのようなものではありません。人生全般に当てはまる、もっと広範な信頼感です。
しかも、自信の有無は子どもの幸福と目標の達成を左右します。目標を達成できるかどうかは、実力よりも有能感と相関していることが、複数の研究によって確認されているのです。なぜでしょうか?
注目すべきは、“失敗後”の分岐点となる決断です。もう一度挑戦するか。うまくいく保証がなくてもやってみるか。ここで、挑戦すればするほどスキルが上がります。その結果、ますます挑戦し、さらにスキルが向上することになります。
この繰り返しにより、心理学者のアンジェラ・ダックワースが提唱した「グリット」――長期的な目標をなんとしても達成しようとする情熱と粘り強さ――が養われます。ダックワースと、同じく心理学者のドゥエックによれば、しなやかマインドセットの子どもは、グリットを発揮する傾向があります。課題に直面したときに、「私なら乗り越えられる」と考えるのです。
一方、自立性は、自らの足で立ち、適切なリスクを負う能力と関係があります。自立するとは、「人に頼らない」ことではなく、助けを求めるべきタイミングを自覚していることです。目標を達成するのに必要なものを持っている、または、どこを探せばそれが見つかるかを知っていることです。
自立性と自信は密接に関連しています。「私ならできる」という感覚があれば、後押しや手助けの必要性は減ります。難局を乗り切ったり、恐怖に立ち向かったりするために助けを求めることはあっても、恐怖心に負けずに難題に挑戦するようになるはずです。
このような自信に満ちた姿勢は、あらゆるスキルが発達途上にある幼少期には特に重要です。子どもは、その「発展途上」という感覚から学べます。というより、学ぶべきです。さもなければ、恐怖で何にも手を出せなくなる恐れがあります。