(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもから難しい質問や答えを知らない質問をされたら、どう対応すべきか。最適解は「答えは知らないけど、私はこう思う。あなたはどう思う?」と返すことです。自分の思考プロセスを説明することで、子どもはそれを手本にして、物事を考え抜く方法を学びます。このような質問は、子どもを本好きに育てるのにも役立つといいます。レベッカ・ローランド氏の著書『自分でできる子に育つ 最高の言葉かけ』(SBクリエイティブ、木村千里訳)より、読書中の会話術を見ていきましょう。

読み聞かせ中に子どもが口をはさむのは、実はよいこと

読書で肝心なのは交流であり、本をきっかけに深い会話をすることです。

 

でも、私たちはそうは考えません。子どもが幼いうちから、1冊でも多く本を読み聞かせようとします。「毎晩20分の読み聞かせを!」「1週間に2冊読み終わるペースで読み聞かせましょう」といった話を聞くこともあるかもしれません。この考え方だと、幼い子どもは黙って聞いているべきだということになります。大きな子どもは、内容の理解や関心はそっちのけで、とにかく冊数を稼ぐよう言われます。

 

それではやる気を保つのは困難です。多くの子どもが読書を「苦痛なもの」「退屈なもの」と感じています。すんなり読めなければなおさらです。

 

読み聞かせをしている親が、子どもに「黙って聞いてなさい」と言うことがあります。しかし、読み聞かせ中に子どもが口をはさむのは、実はよいことです。子どもが夢中で話を追っている証拠だからです。

 

それどころか、多くの研究で明らかになっているように、子どもの学びにいちばん重要な要素は、子どもの参加度です。ただたくさん読み聞かせればいいわけではありません。

本好きな子へと育てる「読書中の会話」

理解力が上がると実証されている「ダイアロジック・リーディング」という手法があります。これは、「対話しながら読み聞かせる」手法のことです。親はまず、子どもが本のどこに惹かれているかに着目します。そして、子どものコメントにコメントを返し、もっと話すように促します。子どもの発言を言い換え、言葉を足したら、再び子どもの関心に着目し、一連の流れを繰り返します。実際、読み聞かせ中に口をはさみ、質問をする子どものほうが、多くのことを学ぶし、やる気と好奇心を最後まで維持します。

 

ダイアロジック・リーディングを成功させるには、子どもの進化していくスキルに合わせて質問を変えることです。子どもたちの世界に関連のある質問を心がけ、想像的な思考を促してください。

 

例を挙げましょう。「おさるのジョージ」の本で、ジョージが熱気球に乗って飛んで行ってしまい、降りられなくなる話があります。こんなときは「あなたならどうする?」「なぜ降りられないんだと思う?」などと聞いてみましょう。もしくは「ジョージが助かって驚いた?」「どこが面白かった?」と聞いて評価するのもよいでしょう。

 

このような交流によって、本を1冊読み通すときに交わす会話以上に、豊かな会話が生まれます。確かに、普通の読み聞かせに比べれば読める冊数は少ないでしょう。それどころか、1冊も読み通せないかもしれません。でも、読書は入り口であって、アイデアを語り合うことに意味があるのです。そのほうが、子どもは読書にはるかに積極的になります。

 

出所:レベッカ・ローランド著『自分でできる子に育つ 最高の言葉かけ』(SBクリエイティブ、木村千里訳)
【図表】小さな変化を起こす:読書の会話 出所:レベッカ・ローランド著『自分でできる子に育つ 最高の言葉かけ』(SBクリエイティブ、木村千里訳)

 

大きな子どもの本を選ぶなら、好きな本や、学校の課題として読んでいる本について尋ねてみましょう。あるいは興味のあるテーマに沿った書籍や雑誌を探しましょう。特に読書嫌いの子どもの場合は、趣味の雑誌から始めるのがお勧めです。毎晩読み聞かせをするか、図書館からもう1冊借りてきて一緒に読んでみましょう。

 

そして、次のように聞いてみてください。「どんな驚きがあった?」「どこが好きでどこが嫌い?」「このあと、どうなると思う?」「次はどんな話題について調べてみる?」

 

 

レベッカ・ローランド

音声言語病理学者。ハーバード大学教育大学院講師、ハーバード大学医学大学院教員、ボストン小児病院神経内科に所属する言語療法の専門家。

言語聴覚士の国家資格を有し、幼児から高校生までの子どもを対象に、教育現場でカウンセリングや学習補助をしている。発話言語や読み書き障害、および子どものコミュニケーション能力の発達について研究し、教師の専門性向上に取り組んできたほか、アメリカの新聞や雑誌などさまざまな媒体で教育や子育てに関する記事を寄稿している。

※本連載は、レベッカ・ローランド氏の著書『ハーバード大学教育学博士×発達支援専門の言語学者が教える 自分でできる子に育つ 最高の言葉かけ』(SBクリエイティブ)より一部を抜粋し、再編集したものです。

ハーバード大学教育学博士×発達支援専門の言語学者が教える 自分でできる子に育つ 最高の言葉かけ

ハーバード大学教育学博士×発達支援専門の言語学者が教える 自分でできる子に育つ 最高の言葉かけ

レベッカ・ローランド 著
木村 千里 訳

SBクリエイティブ

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