「金利を下げる⇒景気が良くなる」という原則
先生「中学や高校でも経済政策についてほんの少し習うけど、この因果関係なんかはその代表じゃないかな。つまり、景気が悪いときには日銀が金利を引下げるってやつだ。つまり金利を下げれば景気は良くなるという原則だ」
生徒「これは…。なんとなく習った覚えがあるわ」
先生「だろうね。復習のつもりで一とおり聞いておいてほしい」
金利低下によって企業、個人ともに借入れ負担が減少
金利は、経済社会全体を流れているお金の流れを変えていく。
金利が下がれば、借り手に有利になるため借入れが増える。利益率が3%の企業なら、金利が5%じゃあ儲からないけど、1%に下がれば1%で借りたお金で3%のもうけが出るわけだから、正味2%分がもうけになる。
だから金利が1%になれば、積極的に借りて生産を増やそうとする。生産を増やすために機械設備を増設する。機械メーカーの売り上げも増えるだろうね。月間1,200台生産していた工作機械を1,300台に増やす。そうすると、売り上げが増え、利益が増えるわけだから賃金も上げられる。
こうして従業員の収入が増えれば、人々の消費が増える。だから企業はさらに生産を増やす。こんな風にしてどんどん経済は回りながら拡大していくんだ。
個人だってそうだ。住宅ローン金利が15年前のように3%だったら「毎月の返済可能額から言って、借入れはせいぜい3,200万円だな」ってなるのが、今は1%だ。こうなれば「3,800万円借りても月々の返済額は同じだな」ってなる。
そうすると、購入物件の敷地も32坪から40坪になり、それに応じて台所のシステムもより豪華になり、「道路に面した敷地への入口は思い切って冠木(かぶら)門構えの造りにしようか」ってなる。
こんな風にして、建設企業の売り上げが増え、建材メーカーの売り上げが増え、住宅購入に伴って設備にかける金額が増えるため、住宅建材のLIXIL、旭化成、文化シヤッターは門扉や塀、車庫などの売り上げ建造費が増える。
そこで働く従業員の時間外手当が増え、そうすると消費が増え、たとえば外食産業の売り上げが増える。そこで収益も増えるから賃上げ幅も大きくなる。こんな風にどんどん好循環が起きる。まさに景気が良くなっている典型的な状態だ。
つまり、金利引下げは景気に活を入れ、目を覚まさせ、そしてお金の循環が良くなり、企業、家計、お店など経済活動に参加しているあらゆる層が潤う。これが、金利引下げによって景気がよくなる基本的なプロセスだ。