(※写真はイメージです/PIXTA)

マンションの駐車場は、管理組合にとって大事な収入源の1つです。空きが目立ってしまうと、マンション全体の修繕が滞ったり管理費の値上げをせざるをえなくなるなど、その被害は住民全体にまで波及します。そこで、マンショントレンド評論家として数々のメディアで発信を行う日下部理絵氏が、駐車場の空き問題を解決するための「7つのポイント」について、事例を交えて解説します。

空き駐車場問題を解決する「7つのポイント」

空き駐車場問題には次のような解決策が考えられる。

 

1.外部駐車場の利用者を呼び戻す

陣内さんのマンションでも行っているが、アンケートなどで利用状況を把握し、空き駐車場の周知と駐車場使用の呼びかけを行う。

 

マンション内の駐車場のほうが外部駐車場より使用料が安価に設定されていたり、大規模マンションでもない限りマンション内のほうが利便性がよいため、呼び戻すことで解決することもある。

 

いかに居住者が情報難民にならないよう空き駐車場の状況を周知させるかが重要である。

 

2.駐車場使用料の改定とルールの見直し

マンションの駐車場使用料やルールは、新築時に設定されていることが多い。現在の状況にあった駐車場使用料への改定とルールの見直しを行う。

 

使用料は、必ずシミュレーションし収支分岐点を見極めてから改定する。その際、外部駐車場の使用料(相場)との兼ね合いや現使用者などの意見をよく聞くことが重要だ。

 

陣内さんのマンションでも値上げを検討したが現契約者から反対の意見が多かった。また1住戸につき1台までの使用制限があるなら、管理規約や使用細則を見直し、空きがある場合は複数台の使用ができるようにする。

 

なお、今後のことを考えると普通決議で改定できる使用細則(管理規約は特別決議)でルール決めをしたほうが運用しやすい。

 

3.駐車場会計の新設

管理費会計、修繕積立金会計のほかに、駐車場のみで収支する、「駐車場会計」を新たに設け分離して会計処理を行う。

 

陣内さんのマンションでもアンケートや説明会開催時に、駐車場を使用しない所有者から使用もしていない施設の費用をなぜ負担しなければいけないのかと疑問やクレームがでていた。このように駐車場に関するトラブルは、駐車場を使用していない所有者に不満が内在しやすい。

 

なお、分離する際はくれぐれも管理組合会計の収支バランスと合意形成に配慮すること。

 

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※本連載は日下部理絵氏の著書『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

60歳からのマンション学

60歳からのマンション学

日下部 理絵

講談社

私たちは、本当にマンションを終の棲家にできるのか? 2030年、分譲マンション約780万戸のうち、築30年以上が過半数を超える。現在、安全・安心・快適なマンションへの永住指向が強まる一方、自らの老いとマンション老朽化…

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