※画像はイメージです/PIXTA

ひとり採用するのに60万円とも70万円ともいわれる新卒採用。当然ながら新卒社員には順調に育ってほしいものですが、入社3年未満の離職率は高止まりしています。原因はなんでしょうか? 詳しく解説します。

 

入社後、社長から新卒社員に伝えるべきメッセージ

無事採用が終わっても、そこからがようやくスタートラインです。4月1日に入社式を行い、配属先へ向かわせることになるでしょう。ここでの注意点は、必要以上に歓迎しないことです。経営者の方のSNSなどをみていると、4月1日の入社式の写真をアップしている方が多くいます。そこに「今年の新卒社員です! 当社を選んでくれてありがとう」のようなメッセージが書かれているのを目にします。

 

予定どおり採用できるか不安ななか、数ある企業から入社してくれたわけですから、うれしい気持ちは非常によくわかります。私も経営者だったときは同じことをやっていました。ただ、そうやって迎えられた新卒メンバーがどうなってしまうかを考えてみてください。「選んでやった」「来てやった」となるかもしれません。自らが評価を受ける立場であるという意識は相当薄くなってしまうはずです。

 

さらに、その入社式で社長に「会社の未来は君たちにかかっている」といわれ、社長と固い握手でもしようものなら、「自分は社長から直々に勅命を受けている」と、ただただ現場で扱いにくい新人になってしまいかねません。うれしい気持ちや期待感はあるでしょうが、現状はまだなにも成し遂げていない新人であるということが事実です。

 

厳かに式を行い、社長からのメッセージはむしろ、

 

「昨日までは内定者として会社を評価する立場だったが、今日からはそれが180°逆転し、会社から評価される立場になった。それをどれだけしっかり受け止められるかが、今後の諸君の成長には重要だ」

 

とすることで、社会人の先輩として教えてあげてください。

新人にまず最初にさせるべきこと

新人は組織のなかでの自分の存在が不安定です。組織の一員として、部下として、同僚として、社会人として、どう立ち回ってよいかわからず落ち着かないのです。ここで、「新人だからまずは慣れてくれればよいです」や「多少なにかあっても先輩たちも大目にみてくれます」などと甘い言葉を口にし、この状態のまま新人を組織のなかに置いておくと、会社側が知らないところで新人は苦しむことになります。

 

先輩たちがよかれと思っていう「社会人になったんだから」「挨拶はしっかり」「普通はね」「わかるよね」などに遭遇して、疲弊していくのです。そういったことから彼らを守るために、ルールを作り守らせるということを早期に行いましょう。

 

実は、ルールを守っていると、人間はその組織の一員になったのだという認識を強く持つようになりますので、帰属意識の醸成に役立ちます。その結果、離職率の低減や成長意欲の増加も期待できます。

 

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