「なにをすればよいか」迷う現場は社員が辞めやすいが…「コミュニケーション」では離職防止にならない理由

「なにをすればよいか」迷う現場は社員が辞めやすいが…「コミュニケーション」では離職防止にならない理由
※画像はイメージです/PIXTA

国内企業だけでも約380万社あるなかから、自社を選び入社した社員。そんな社員の離職はどんな経営者にとっても防ぎたい問題ですが、コミュニケーションで離職を止めようとしてもあまり効果がないそうです。なぜなのでしょうか? みていきます。

 

従業員が会社を選ぶ理由とは?

従業員が「この会社で働こう」と入社を決断した理由は、給料、福利厚生、やりがい、自己成長、環境などさまざまあるでしょうが、一言で表せば有益性です。人と人の繋がりは有益性でできており、会社と人もまた有益性でつながっています。この有益性、目には見えません。目には見えないこそ、従業員が会社に求める有益性を見誤ってしまうと、簡単に会社と人のつながりは切れてしまうのです。

 

経営者によっては、給与や福利厚生を手厚くすれば人は集まるだろうといいます。もちろん間違ってはいません。しかし、その有益性にのみ魅かれた求職者は、本当に自社に欲しい人材だったでしょうか。給与や福利厚生に魅かれてくるということは、たとえばライフステージの変化によってそこに魅力を感じなくなったら簡単に退職を決意してしまうでしょう。

 

そこで、私はクライアントに対し、「社員へ成長機会を与えてください。そのために、必ず自社も成長し続けてください」とお伝えしています。この成長という有益性は、会社と社員がお互いに与え続けることができ、常にwin-winの関係を保つことができます。ただ単に成長機会さえ与えていればよいという考え方ではブラック企業になってしまいます。あくまで、給与や福利厚生などは同業他社よりも少し高い水準に設定したうえで、成長という有益性を武器にしてください

 

今後の事業戦略、それに必要な役割の明確化、入社してからのキャリアプラン、このようなものが最低限そろっていないと、社員の採用も定着も難しいでしょう。

人を速く成長させるためのフロー

成長に必要な振り返りと改善には「結果の完了」というロジックがあります。人が成長を最速化させるためには、以下のフローを回さなくてはなりません。

 

1. 結果の明確化

2. 不足の明確化

3. 不足の理由と行動変化の明確化

4. 次の結果の明確化

 

このとき、特に重要になってくるポイントが項目2です。実は、これは離職問題においても活用することができるのです。

 

どういうことか。たとえば、下記のような離職理由をそのまま放置することは、非常に危険だということです。

 

「仕事が大変だから」

「待遇に不満があるから」

「人間関係に疲れたから」

 

これらはよくある退職理由ですが、大きな落とし穴があります。というのは、これらの意味が非常に曖昧だということです。仕事が大変、待遇に不満、人間関係に疲れたというのは、具体的にどういう意味なのでしょうか。なぜそうなっているのか、どうすれば改善が図れるのかはっきりしません。まずはこれらを明確にしましょう。

 

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