生活を直撃する資源高
日々、休むことなくモノの値段がどんどん上がっています。コモディティ(商品先物)では、一時、原油価格は1バレル130ドルまで高騰しました。クリミア併合の2014年夏でさえ、1バレルが100ドル前後だったのにです。
資源高は生活を直撃します。そして金(ゴールド)、一時1オンス2,000ドルと過去最高の高値をつけました。これはもう、かつてなかったような大インフレがやって来る予兆ではないでしょうか。
しかもここに、モノ不足が加わるのです。バター、チーズが値上がりして買えなくなるかもしれない。乳製品の輸出先のヨーロッパ、デンマークなどがインフレとウクライナ侵攻のダブルパンチで深刻化すると、実際に起こり得る事態です。
日本がウクライナとロシアの戦争に地政学的な直接の関係がなくても、サプライチェーン(供給網)と物流で大きな影響を受けます。
空前のインフレがもたらす、空前の利上げショック
さらにアメリカのインフレ懸念の深刻さは日本の比ではありません。アメリカは過去40年ほど深刻なインフレを経験して来ませんでした。ところがいまは消費者物価指数の上昇率が前年同月比で40年前の水準に達してしまっている。
FRB(連邦準備理事会)は2021年まで、「物価上昇は一時的」としていた展望を一転させました。これは市場予想を超えた急速なインフレ率の高まり(2022年2月、7.9%)のせいです。
3月15日、16日に行われたFOMC(連邦公開市場委員会)で、政策金利を0.25ポイント引き上げ、量的緩和も3月で終了することを宣言。さらに年7回の利上げも示唆。インフレ退治に本腰を入れざるを得なくなったのです。
2020年春から、コロナ禍の影響で金融市場が混乱、FRBをはじめECB(欧州中央銀行)も日本銀行も量的緩和策を打ち出し、それなりに効果は上げてきました。しかしその一方、2年あまりの量的緩和は資産価値を猛烈に押し上げ、バブル的なカネあまり状況が生まれたのです。コロナ対策の負の遺産と言えるでしょう。