有事には優良株が軒並み暴落
市況は、ひとたび戦争が起これば株価は暴落します。これは間違いない。過去のデータがすべて証明しています。だからこそ相場の格言通り、「有事は買い向かえ」なのです。有事は下げた優良株の買い場になります。その意味では第3次世界大戦クラスの戦いにならず、局地戦的な戦争の勃発は、貴重な投資機会でもあると言ってよいでしょう。
一方、有事で暴落が予見できれば、カラ売りも有効です。カラ売りとは、手元に持っていない株式を、信用取引などを利用して「借りて売る」ことです。現状、株価が高く、今後下がることが予想されるときに空売りをし、その後、予想通り株価が下落したところで買い戻して利益を得るものです。
私は投資家のスタンスとして元来カラ売りはしませんが、「カラ売りしていたら大儲けだった」という局面は、実際これまでに、何度もありました。
ウクライナ侵攻を先読み。成功した投資家たち
2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻時における、ロシア通貨・ルーブルもそうでした。投資家、投資ファンドの間で見立ては大きく2つに分かれました。ロシアは「侵攻する」のか「侵攻しない」のか。「侵攻しない」と読んだファンドはルーブルの買いに入って大損しました。
実はその2日前の2月22日、プーチン大統領はウクライナ領土内で親ロシア派、分離独立派が実効支配していた2つの州であるドネツク、ルハンスクを、それぞれ「ドネツク人民共和国」「ルハンスク人民共和国」として独立承認する大統領令に署名しました。
さらにロシア軍に対して軍事基地などの建設、使用権利を承認する「友好協力相互支援協定」にも署名。これはロシアがこの2地域を衛星国にしたも同然です。
この時点がまさに肝。これで「侵攻する」と読んだ投資家はルーブルをカラ売りして大儲けしました。ウクライナの主権と領土の一体性を侵害し、国際法にも違反したこのロシアの行動を、ウクライナに対する宣戦布告と読んだわけです。
ご存知のように、ロシアは「核兵器」使用の可能性に触れています。これで日本も対岸の火事ではなくなったのです。専制主義、覇権主義の独裁国家の横暴に対し、近隣国はどう対応していけばいいのか。喫緊の課題となった瞬間です。
とくに台湾有事では、日本は巻き込まれるリスクが大です。石垣島の目と鼻の先に台湾があるのです。また北朝鮮が思わぬ行動に出てくるリスクもある。この2つのリスクは今後新局面を迎えることになるでしょう。