(※写真はイメージです/PIXTA)

「親に数年会っていない」「家族との仲が悪い」──こうした状態が、「成年後見」を招く要因となります。また、多くの人にとって「相続」と「認知症」は人生後半における大きな課題です。もし、この二つの課題が同時期に重なってしまうと──資産が凍結されて「自分のお金が使えない」という最悪の事態を招いてしまいます。石川秀樹氏の著書『家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決 』(ミーツ出版)より、人生において知っておくべき「相続と認知症」「成年後見」に関して書かれた箇所を、一部抜粋してお届けします。

 

銀行フロアに「委任状」が見つからない

今の銀行で、フロアに委任状を置いているのは少数派です。本人が委任状を書き家族に代理させるという古典的な方法、もう“絶滅危惧種”かもしれません。

 

メガバンク、主要地方銀行、信用金庫、農協など、かつては普通に筆記台のところに置いてあったと思うのですが、見つかりません。インターネットで検索しましたがこちらも当て外れ。[銀行_引出_委任状]と検索しても、主な銀行の委任状はヒットしません。あるのは、ゆうちょ銀行、JAバンク、ろうきん、それに信用金庫など。地元密着のはずの地方銀行でも、ネットに委任状をアップしているのは広島銀行、清水銀行くらい。

銀行は委任状を信用していない?

この現象はなんなんでしょう。銀行は委任状を認めなくなった? ATMが普及しているから、今どき通帳と印鑑でおろす人はいないから? そんなことはないと思いますけどね。私の母もカード嫌いで、いつも外出のたびに同じバッグを持ち、通帳と印鑑を入れていました。(「危ないから、やめたら?」と何度もいっていたのですが)今でもそういう人はいるのではないでしょうか。ではなぜ?

 

うがった見方をすれば、銀行は委任状を信用する銀行と、しない銀行に二極分化しているのかもしれません。

 

委任状は誰でも書けます。当然本人が書くべきですが、ゆうちょ銀行などでも、窓口で本人の筆跡を照合している気配はありません。JAバンク、ろうきんでも同じ。本気で疑えば、銀行は申請書のたぐいを何年間分も保管していますから、照合は簡単なんですけどね。人員削減が進む中で、異常な引き出しではなく、通常の生活費の引出と推測できる場合なら『そこまでしなくても大丈夫』と考えているのかもしれません。

 

しかし、ふだんは甘いように見えるこのような銀行でも、一度に大金をおろすような時には態度が一変します。委任状ではなく、本人の意思確認を求めることになるのです。つまり、本人の口から何のためにいくら引き出したいかを聞き出すのです。

 

 

家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決

家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決

石川 秀樹

ミーツ出版

人生後半には2つの危機が待っています。「認知症」と普通の家の「相続」です。 《相続がなぜリスクなのか、ですって!?》実は今、日本では相続がヤバイ! 生前の認知症は、意思能力喪失を理由に、自分の資産が凍結されて「…

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