銀行フロアに「委任状」が見つからない
今の銀行で、フロアに委任状を置いているのは少数派です。本人が委任状を書き家族に代理させるという古典的な方法、もう“絶滅危惧種”かもしれません。
メガバンク、主要地方銀行、信用金庫、農協など、かつては普通に筆記台のところに置いてあったと思うのですが、見つかりません。インターネットで検索しましたがこちらも当て外れ。[銀行_引出_委任状]と検索しても、主な銀行の委任状はヒットしません。あるのは、ゆうちょ銀行、JAバンク、ろうきん、それに信用金庫など。地元密着のはずの地方銀行でも、ネットに委任状をアップしているのは広島銀行、清水銀行くらい。
銀行は委任状を信用していない?
この現象はなんなんでしょう。銀行は委任状を認めなくなった? ATMが普及しているから、今どき通帳と印鑑でおろす人はいないから? そんなことはないと思いますけどね。私の母もカード嫌いで、いつも外出のたびに同じバッグを持ち、通帳と印鑑を入れていました。(「危ないから、やめたら?」と何度もいっていたのですが)今でもそういう人はいるのではないでしょうか。ではなぜ?
うがった見方をすれば、銀行は委任状を信用する銀行と、しない銀行に二極分化しているのかもしれません。
委任状は誰でも書けます。当然本人が書くべきですが、ゆうちょ銀行などでも、窓口で本人の筆跡を照合している気配はありません。JAバンク、ろうきんでも同じ。本気で疑えば、銀行は申請書のたぐいを何年間分も保管していますから、照合は簡単なんですけどね。人員削減が進む中で、異常な引き出しではなく、通常の生活費の引出と推測できる場合なら『そこまでしなくても大丈夫』と考えているのかもしれません。
しかし、ふだんは甘いように見えるこのような銀行でも、一度に大金をおろすような時には態度が一変します。委任状ではなく、本人の意思確認を求めることになるのです。つまり、本人の口から何のためにいくら引き出したいかを聞き出すのです。