広告費ゼロで収益・集客を増やす…画期的な「荷物預かりサービス」とは?【DX成功事例】

広告費ゼロで収益・集客を増やす…画期的な「荷物預かりサービス」とは?【DX成功事例】
(※写真はイメージです/PIXTA)

トピックとしては広く浸透したDX。実際の取り組みに対し、評価するタイミングに差し掛かっています。DXによって収益化できている企業とそうでない企業はなにが違うのか、そもそも変革できたのか、どこで差がついたのか……今回は広告費ゼロで収益・集客を増やすことに成功した、画期的な「荷物預かりサービス」の戦略を中心にみていきます。

 

広告費をかけずに収益・集客を増やすサービス

店舗の遊休スペースを活用した収益と集客の獲得

■事業:ecbo cloak(エクボ クローク)

■運営:ecbo株式会社

 

店舗での荷物の預かりをフックとした無料集客を可能とするシェアリングプラットフォーム

 

[図表1]ecbo cloakの保管サービス

 

〈ビジネスモデルの概要〉

ecboは、2015年に設立された日本のスタートアップです。店舗の遊休スペースを使った荷物預かりサービスであるecbo cloakの提供を主に事業活動を展開しています。ecbo cloakは、新型コロナウイルス感染症の流行により約1年間サービスの提供を停止していたのにもかかわらず、日本全国で1,000店舗以上に導入されるなど、堅調な拡大を実現しています。

 

遊休スペースを活用した収益の獲得と考えると、Airbnb(住宅施設を宿泊サービスとして提供することで、新しい不動産ビジネスを創造したオンラインマーケットプレイス)のビジネスモデルに類似したサービスと捉えられます。しかし、ecbo cloakはそれだけではありません。

 

店舗のオーナーからすれば、収益に加えて集客も得られます。旅行者は、荷物を預けるときと受け取るときに、必ず店舗に立ち寄るからです。実際、カフェやレストランのように、ついでの利用が期待できる店舗の登録が多くなっています。広告費をかけずに集客を得られる一石二鳥のシェアリングプラットフォームといって差し支えないでしょう。

 

旅行者からしても少なからずメリットがあります。第一に、事前にアプリで予約するため、akippa(駐車場の使っていない時間帯を、初期費用ゼロで貸し出すことのできるシェアリングサービス)と同様、現地で空いている場所を探す必要がなくなります。コインロッカーには収納しにくいベビーカーや大型の楽器なども預けられます。ecbo cloakは英語版もあるため、海外の旅行者にとっては、使い方がよくわからないコインロッカーよりも便利かもしれません。

 

進化の方向性

ecboは、ecbo cloakの事業基盤を活用した次なるサービスの提供にも積極的に取り組んでいます。

 

宅配物を店舗で受け取ることのできるecbo pickupは、その一例です。宅配物を代わりに預かった店舗は、一定の手数料と集客を得られます。利用者は、店舗が開いている時間帯であれば好きな時間に荷物を受け取れます。宅配事業者にとっても、一定の手数料を要するとはいえ、再配達が不要になります。コンビニも同様のサービスを提供していますが、自宅近くにコンビニがない人からすれば便利な仕組みです。

 

ecboは、遊休スペースを活用して収益と集客を得られるビジネスモデルを構築しました。その価値を無料での集客の実現と捉えるなら、広告ビジネスのマネタイズモデルを破壊しかねないDXといっても大げさではないでしょう。

 

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本記事は、小野塚征志氏が監修した『DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略』(インプレス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

小野塚 征志

インプレス

最先端のDX事例を完全図解! &ビジネスに落とし込むためのヒントが満載! 「DX」はトピックとしては広く浸透しました。そのため、どんな事例があるか、どう取り組むか、どう経営に取り入れるかといった情報は語りつくされたと…

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