施術レベルの低いクリニックは淘汰…AI顔診断で美容整形のクオリティを底上げするプラットフォーム【DX成功事例】

施術レベルの低いクリニックは淘汰…AI顔診断で美容整形のクオリティを底上げするプラットフォーム【DX成功事例】

トピックとしては広く浸透したDX。実際の取り組みに対し、評価するタイミングに差し掛かっています。DXによって収益化できている企業とそうでない企業はなにが違うのか、そもそも変革できたのか、どこで差がついたのか……今回は「AI顔診断で美容整形のクオリティを底上げするプラットフォームを作った企業」のDX実例を中心にみていきます。

利用者だけでなくクリニックにも有意義なDX事例

美容整形での迷いがなくなるAI顔診断アプリ

■事業:新氧(ソーヤング)

■運営:北京新氧科技有限公司

 

美容整形を受ける人の顔画像やコミュニティ/カウンセリングでのコミュニケーション履歴などを蓄積した美容整形データプラットフォーム

 

[図表1]美容整形クリニック、新氧、アプリ利用者…三者の関係

 

〈ビジネスモデルの概要〉

北京新氧科技(ペキンソーヤングテクノロジー)は、美容整形情報アプリの新氧を運営する中国のスタートアップです。2013年に設立してからわずか6年間でNASDAQへの上場を果たしました。中国では、若い女性を中心に美容整形を受ける人が増加しています。新氧は、その市場の成長に大いに貢献したと見て間違いありません。なぜなら、新氧のアプリにアクセスするだけで、美容整形を受けるにあたっての迷いや不安が解消されるからです。

 

第一に、美容整形に関心を持っても、施術後にどのような顔になるのかがわからないと、実感がわきません。新氧のAI顔診断を利用すれば、自分の顔の画像を送るだけで、受けるべき施術や施術後のイメージを提示してくれます。理想の顔を選んだうえで、それに近づくために必要な施術を確認することも可能です。

 

美容整形を受けた人とこれから受けようとする人が情報交換できるコミュニティもあります。自分の顔に対して同じような悩みを抱えている人同士がコミュニケーションすると、結果的に美容整形を受けてでも何とかしたいとの意思決定に至りやすくなります。医師のカウンセリングを受けたり、クリニックに対する評価を確認したりすることもできます。美容整形に関する情報が増える過程で安心感が高まるとともに、施術を受けたいと思うクリニックが決まっていくわけです。

 

新氧は、美容整形クリニックにとっても有意義な存在です。市場全体の成長に貢献するだけではなく、これから美容整形を受けようとする人との接点を得られます。レーティングを通じて、施術のレベルに問題があるクリニックを淘汰できることも得難い機能といえるでしょう。

 

進化の方向性

新氧は、AI顔診断を通じて膨大な画像データを蓄積しています。中には、施術後、次なる美容整形を検討するにあたってAI顔診断を利用した人もいるはずです。つまり、どんな人が、どこで、どのような施術を受けて、どのような顔になったのかを分析できるだけのビッグデータを有しているわけです。

 

これを施術の高度化やシミュレーションの精度向上に活かせないでしょうか。新氧がデータプラットフォーマーとして美容整形のクオリティを牽引する存在になることも不可能ではないはずです。

 

次ページ店舗ではAI、アプリではARを利用した化粧品小売チェーン

本記事は、小野塚征志氏が監修した『DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略』(インプレス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

小野塚 征志

インプレス

最先端のDX事例を完全図解! &ビジネスに落とし込むためのヒントが満載! 「DX」はトピックとしては広く浸透しました。そのため、どんな事例があるか、どう取り組むか、どう経営に取り入れるかといった情報は語りつくされたと…

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