チラシだけを見たお客は警戒心が強い
■親和性が高いためリピーター(紹介)になるお客様が続出する
来店する顧客の「認知経路」を当社では大切にしています。
認知経路とは、チラシを見てきたのか、運転中に看板広告を見たのか、インターネットで検索をしてきたのか、Google マップなどの口コミを見てきたのか、などです。
なかでも口コミを見て来店するお客様は入店直後から「感じが良い」の一言です。
チラシやインターネット広告、街の広告看板では店に入るにも警戒心が強いです。なぜならどんな店なのかがわからないからです。
しかし、口コミを見て来店するお客様は、来店前に店内の様子について他のお客様の声を参考にして信頼・安心しているので、表情も柔らかくリラックスしています。
これを私は「親和性の高い顧客」と呼んでいます。
たしかに、周りの友達に「あの店めっちゃいいよ!」と言われた店と、広告で見て足を運ぶ店では心構えが違いますよね。当然ながら友人に紹介された方が信頼・安心があるはずです。
店内に入って「騙されたらどうしよう」と身構える人はいないはずです。
親和性が高いお客様が来店することでどんなメリットがあるのか? 私が考える最大のメリットは、従業員のストレスが激減することです。
多くの店舗ビジネスは接客が必要になります。
しかし、お客様は入店直後からしばらく回遊する間に声をかけられると「鬱陶しい」とストレスを受けて不機嫌な対応をします。
店舗スタッフからしてみたら「どんな用で来店したのか聞きたいだけなのに……」と思うのですが、お客様は「聞きたい時に聞くから声をかけないでほしい」と思うものです。ここに大きなストレスがかかるのですが、口コミを見て来店したお客様は声をかけられても不快感が低いです。
入店時点で信頼・安心がベースなので「強引に売りつけられる」「私に必要ないものを売ってくる」「どうせ顧客は金にしか見えてないんだろう」といったようなネガティブな印象がないからです。
「この店の店員さんは口コミの評価通り私のことを第一に考えてくれる」という好印象を持っているので、声をかけられることに対する不快感があまりありません。
これは従業員にとってはとても大きく、働きやすさが確実に高まります。
この働きやすさが従業員のモチベーションにつながり接客力向上につながります。
いつもならアプローチで断られてしまうシチュエーションでも、断られることなく気持ちよく接客ができるので、仕事が楽しくなります。
この楽しさが自学自習を生み出し、結果的に高い接客力につながります。
嬉しいことに、従業員にもファンが増えリピーターで溢れる店へと成長していきます。新規集客に多額の資金を投じ続ける店舗経営ではなく、広告費を最小限にできるキモはここにあります。プロローグで紹介しましたように、4000万円以上をコストカットできている例もあります。
口コミを見て来店したお客様の顧客満足度が総じて高いため、リピーターになり定着します。さらにそこに新たに口コミを見て来店するお客様が溢れるわけです。この好循環でリピーター中心の店舗になります。
どの店舗で働く従業員もチラシを見て来店する見ず知らずのお客様を毎日のように接客するよりも、顔馴染みで「あっ、あのお客様だ!」と、リピーターが来店するたびに喜びにつながる毎日を過ごしたいと思うはずです。
店舗スタッフがここまで考えて「口コミ集客に力を入れましょう!」とはならないと思いますので、本連載をお読みのみなさんが口コミ集客の仕組みを構築することが大切です。
人手不足で悩む店舗ビジネスですが、単純に仕事に飽きてしまって辞める人が多いです。毎日刺激や喜びに満ち溢れる環境を作るためにもぜひ口コミ集客に力を入れていきましょう。
成田 直人
ジャパンブルーコンサルティング株式会社代表取締役