再生可能エネルギー資産は利回り上昇にも耐えうる
一般的な割引キャッシュフロー評価モデルでは、債券利回りの上昇は割引率を上昇させ、資産の将来キャッシュフローの現在価値を低下させるため、他の条件がすべて同じであれば、その評価額は下がります。資産のデュレーションが長いほど、国債利回りの上昇による評価額ショックは大きくなります。
このことから、インフレで国債利回りが上昇するスタグフレーションの環境では、再生可能エネルギーの評価額は影響を受けやすいと思われるかもしれません。
しかし、分散化と耐性の両方の観点が当該資産クラスを支えているため、リスクは皆さんが考えているよりも低くなります。主なリスク軽減要因として以下の2つが挙げられます。
インフレによる割引率の変化を相殺可能
第1に、インフレ率が上昇すると、再生可能エネルギー資産の割引キャッシュフロー計算における、分子のキャッシュフローが増加し、インフレによる割引率の変化を少なくとも部分的には相殺することができます。
たとえば30年間にわたり、100%インフレ連動型キャッシュフローが保証されている資産の価値は、インフレ率と割引率が共に2%上昇したと仮定した場合、他の条件がすべて同じであればほとんど変化しません。インフレから収益へのパススルー率が80%であれば、評価額は約5%の下落に留まります。
パススルー率が弱い資産の場合には、もっと大きな影響を受けることになります。再生可能エネルギーはインフレと強い収益連動性があるため、この点において他の資産と比較すると優位といえるでしょう。
これらの数値は説明のみを目的としています。
インフレによる債券利回りの上昇は再生可能エネルギーの評価額にとってさほど懸念事項ではありませんが、実質利回りの上昇が債券利回りを押し上げている場合はより大きなリスクとなります。
しかしここでも、数十年間のキャッシュフローを支払う資産であることを考慮すると、リスクは比較的小さいといえます。