部下の“仮説力”を鍛える、2つの方法
部下自身の仮説を聞くのは、もう一つの大きなメリットがあります。上司がマネジメントしやすくなるのです。
部下の見通しを聞くことで、仕事の進捗状況を把握できます。それは上司が仮説を立てるときにも、とても有用な情報になります。部下の仮説を聞いておけば、次にどういう対応をすればいいのか、どういうアドバイスを与えればいいのかが明確になります。
また、「これからどうなる?」という聞き方には2つの方法があります。一つは、これから起こりそうなことをどんどんあげてもらう方法です。
1 これから起こりそうなことをどんどんあげてもらう
たとえば、「○○社との取引だけど、何が起きると思う?」と問いかけ、「担当者がかなり慎重で交渉が長引きそうだ」「担当者が変われば、一気に話が進むかもしれない」「新商品を売り込めば、契約まで持ち込めるかもしれない」など、できる限りたくさん「起こりそうなこと」を答えてもらいます。
そのあと、部下と相談しながら、どれが一番可能性が高いかを考えてみるといいでしょう。これは、まだ経験が浅い部下に対して効果的な聞き方です。
2 「可能性の高いこと」を深掘りさせる
もう一つは、「○○社との取引だけど、どういうふうに進んでいくと思う?」というように、一つの可能性をとことん深掘りしてもらう方法です。
「担当者がかなり慎重で交渉が長引きそうだ」
→「複数の会社との競合になる可能性がある」
→「コンペが行なわれるかもしれない」
→「値引きや条件の追加をしないといけないかもしれない」
このように、一番可能性の高いことをあげてもらい、そこからどう進んでいくかをどんどん掘り下げてもらうのです。上司はサポート役になって、方向性などの微調整を行なっていきます。
これはキャリアを積んできた人に対して効果的な聞き方です。ある程度先を見通せるようになった部下が、さらに精度の高い仮説を立てられるようになることが目的です。部下の能力や仕事の内容に応じてこの2つの聞き方を使い分け、部下の“仮説力”を伸ばしていってください。
阿比留 眞二
株式会社ビズソルネッツ 代表取締役