公的年金は、国民年金と厚生年金の2つに分類される
年金の制度は、年老いたときやいざというときに、働いている世代みんなで支えようという考えで作られた仕組みです。
年金は公的年金と私的年金に大別され、さらに公的年金は国民年金と厚生年金の2つに分類されます。
若いときに公的年金制度に加入して、保険料を納め続けることで、
●年をとって満足に働けなくなった
●病気やケガで障害が残ってしまった
●家族の働き手が亡くなってしまった
という状況になっても、年金を受け取ることで生活を安定させることができます。
★被保険者の区分 ~支払い・受給の対象者の仕分け~
公的年金の被保険者は、第1号から第3号に分かれます。被保険者の区分と区分ごとに対象となる人は、下記のとおりです。
第1号被保険者 → 自営業者・学生・無職の人
第2号被保険者 → 会社員・公務員・教職員
第3号被保険者 → 第2号被保険者の被扶養配偶者
たとえば、会社員は第2号被保険者に該当します。そしてその会社員の妻が専業主婦であれば、妻は第3号被保険者となります。
★公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造
次に、公的年金制度の構造ですが、すべての人が加入する国民年金を1階とし、会社員など第2号被保険者が加入する厚生年金を2階とする2階建ての構造となっています。
国民年金と厚生年金では、加入できる対象が大きな違いです。
国民年金 → 国民全員が加入の対象
厚生年金 → 第2号被保険者のみ加入の対象
第1号被保険者と第3号被保険者は厚生年金には加入しない。
つまり、第2号被保険者の方だけは、国民年金と厚生年金の両方を受給するのです。
国民年金のことを「基礎年金」といい、20歳以上60歳未満の全居住者が対象となります。国民年金のすべての加入者には、「基礎年金番号」が付されています。
★被保険者の要件 ~年齢や居住地による制限あり~
第1号・第3号被保険者には、年齢と居住地による加入要件があります。自営業者など第1号被保険者と、会社員の奥様など第3号被保険者は、20歳以上60歳未満・国内での居住者となっています。
第2号被保険者には、年齢の要件はありません。そのため19歳で就職すればその時点で第2号被保険者となりますし、61歳でも正社員として会社に勤務を続けていれば第2号被保険者の立場は変わりません。
★公的年金の受給区分 ~老齢・障害・遺族~
公的年金の受給には3種類の区分があります。
①一定の年齢になった場合に支給 →「老齢給付」
②一定の障害者になった場合に支給→「障害給付」
③被保険者が亡くなった場合に遺族に支給→「遺族給付」
国民年金の区分
公的年金のうち国民年金についても同様に、「老齢基礎年金」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」の3種類があります。
★高校生から知っておきたい老後の備えについてはこちらをチェック
国民年金と厚生年金保険の関係
老齢給付・障害給付・遺族給付のそれぞれについて、国民年金と厚生年金の関係性について解説します。
★老齢給付
老齢給付は、加齢により受け取ることができる年金です。
第1号・第3号被保険者は、原則として65歳以後に、国民年金から老齢基礎年金の支給を受けます。
これに対し、会社員など第2号被保険者は、原則として65歳以後に国民年金から老齢基礎年金の支給を受けるとともに、厚生年金保険から老齢厚生年金の支給を受けることになります。
また、生年月日に応じて、60歳台前半に「特別支給の老齢厚生年金」の支給を受けることもあります。
★障害給付
障害給付は、重い障害を負った場合に支給される年金です。
第2号被保険者は、国民年金から障害基礎年金、厚生年金保険から障害厚生年金の両方が支給されます。
自営業者などの第1号被保険者や専業主婦などの第3号被保険者は、障害基礎年金のみの支給になります。
★遺族給付
遺族給付は、被保険者が亡くなったときに遺族に支払われる年金です。
国民年金と厚生年金保険では、年金を受給できる遺族の範囲が異なっています。
子どもや、子どものある配偶者が遺族として残されたときは、亡くなった人が自営業者など第1号被保険者の場合は国民年金から遺族給付を受けることができます。
それに対して、会社員など第2号被保険者の場合は、国民年金と厚生年金保険の両方から給付を受けることができます。
年金の支払日は「偶数月の15日」…2ヵ月分を前払い!
年金の給付は、偶数月である2月、4月、6月、8月、10月、12月に、年6回、それぞれ2カ月分が前払いで支給されます。支払日は15日です。
★老齢年金・障害年金・遺族年金などの公的年金制度についてはこちらをチェック
【公的年金制度】老齢年金・障害年金・遺族年金はいくらもらえるか?【FP3級】
保険料の金額
国民年金の第1号被保険者の保険料は毎年増加し続けています。2021年の保険料は、月額16,610円ですが、2022年の保険料は増加することになるでしょう。
保険料の納付期限は翌月末で、例えば、4月分は5月末までに納付します。また、保険料をまとめて前払いすると保険料が割引されます。
◆被保険者の区分別の保険料の金額
第1号被保険者 月額 16,540円/人(2020年度)
第2号被保険者 標準報酬月額・賞与額により算出 労使折半
第3号被保険者 保険料なし
岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士
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