燃料費調整制度とは
燃料費調整制度とは、燃料価格や為替レートの変動の影響を、迅速に電気料金に反映させることができる制度です。
燃料価格や為替レートの変動は電力会社の企業努力ではどうしようもないものなので、電力会社に対し、政府の認可を待たずにそれらを電気料金に反映させて値上げ、あるいは値下げを行うことを認めているということです。
2022年に入ってから、ウクライナ危機により、液化天然ガス、石炭、石油といった火力発電に用いる燃料が高騰し、しかも、円安がそれに拍車をかけています。それらが、燃料費調整制度によって、電気料金に転嫁されてきているということです。
燃料費調整制度の計算ルール
燃料費調整制度は電力会社のフリーハンドを認めるものではありません。計算のためのルールがあります。
燃料費調整額の計算式は以下の通りです。
ここで登場する「燃料費調整単価」については説明が必要です。「燃料費調整単価」とは、連続する3ヵ月間の平均燃料価格です。それを、その最後の月から起算して3ヵ月目の価格に自動的に反映させるのです。
たとえば、2022年11月の燃料費調整額の計算に用いられている「燃料費調整単価」は、2022年6月~8月の平均燃料価格です(【図表】参照)。
3ヵ月間の平均をとることで、可能な限り、急激かつ大幅に料金が上昇するのを回避しているのです。
ただし、自動的に価格に反映されるといっても、あまりに急激かつ大幅に上昇してしまったのでは、国民生活や産業に悪影響をおよぼすおそれがあります。そこで、電気料金の基礎となる燃料費に一定の上限が設けられています。
電気料金の基礎となる燃料費が「基準燃料価格」+50%の額に達したら、それ以上は電気料金を値上げできないのです。この上限額が反映された電気料金を「規制価格」といいます。
この「基準燃料価格」とは、料金設定時の平均燃料価格、すなわち、基準となる3ヵ月間の平均をさします。
基準燃料価格と現時点での燃料価格との間にはタイムラグがあり、現時点までに燃料価格が大幅に上昇してしまった場合は、電力会社が負担するということになります。