(※画像はイメージです/PIXTA)

2022年11月8日、政府が、75歳以上が加入する後期高齢者医療保険制度の保険料の上限額を、高額所得者について年66万円から80万円へと14万円引き上げる方向で調整に入ったことが判明しました。そもそも後期高齢者医療制度とはどういうものでしょうか。上限額の引き上げはどのような意味をもつものでしょうか。解説します。

後期高齢者医療制度とは

後期高齢者医療制度とは、75歳以上の「後期高齢者」と、一定の障害がある65歳~74歳の人について、2008年から導入されたしくみです。

 

医療費の自己負担割合は原則として1割です。ただし、一定以上の所得がある人については、以下のように、負担割合が高くなっています。

 

【2割負担】

・単身世帯で課税所得28万円以上、かつ「年金収入+その他の所得」が200万円以上

・複数世帯で課税所得28万円以上、かつ「年金収入+その他の所得」が320万円以上

 

【3割負担】

・現役並み所得者

 

ただし、「2割負担」の人は、2022年9月以前は「1割負担」だったので、急激な負担増になることに配慮した経過措置がとられています。すなわち、2025年9月末日までの間、1ヵ月あたりの「外来医療」における負担増加額が3,000円以内に抑えられます。あくまでも外来医療に限られ、入院の医療費は対象外です。

 

高齢者は現役世代より所得が低い一方、かかる医療費が高くなります。そのため、患者の自己負担額以外の財源の約9割を現役世代からの「支援金」(約4割)と公費(約5割)でまかなうことになっています。

 

後期高齢者医療制度に関する事務、すなわち、被保険者の資格認定・管理、被保険者証の交付、保険料の賦課、医療給付等は、都道府県ごとに全ての市町村が加入する「後期高齢者医療広域連合」が行います。また、保険料の徴収と窓口業務(届出・申請受付等)は市町村が行います。

後期高齢者医療の保険料の現状

後期高齢者医療の保険料は、条例により後期高齢者医療広域連合が決定します。保険料率の改定は2年ごとに行われています。

 

保険料の額は、以下の2段構えとなっています。

 

・均等割:被保険者全員が均等な額を負担する(単位:円)

・所得割:所得に応じて負担する(単位:%)

 

ただし、均等割については、世帯の所得に応じて軽減されます【図表1】。また、所得割については上限額が設けられています。

 

厚生労働省「後期高齢者医療の保険料について」より
【図表1】均等割の所得ごとの保険料軽減割合 厚生労働省「後期高齢者医療の保険料について」より

 

2022年度の全国平均保険料率は、「均等割」が 47,777円、「所得割」が 9.34%です。ただし、これらを合計して年66万円が上限額となっています。そして、2022年の平均保険料額は77,663円(月額6,472円)でした。イメージを図示すると【図表2】のようになります。

 

厚生労働省「後期高齢者医療の保険料について」より
【図表2】後期高齢者医療保険制度の保険料のイメージ(2022年度) 厚生労働省「後期高齢者医療の保険料について」より

 

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