5人の歯科医が次々退職…ピンチに陥った経営者
2016年、分院長を含む5人の歯科医師が次々に辞めていくという事態が起きました。2015年からハワイに歯科技工所をオープンするため理事長がたびたびハワイに行き医院を不在にしていたことに、辞めた歯科医師たちは不満があったと思います。私も当時は同じ気持ちでした。
いくら仕事で行っても、勤務医にしてみれば「私たちが稼いだ利益で理事長はハワイに行っている」と思うのも仕方ありません。その頃は私がスタッフに考えや思いを話すこともなければ、スタッフの本音を聞くこともありませんでした。
この5人の歯科医師の辞職をきっかけに、そこから数年間の無休勤務を経て、私のなかに「自分1人でできることなんてたいしたことないな、それならば目の前の1人ひとりを大切にしていこう」という気持ちが生まれ、その後経営方針を大きく変えることになりました。
仕事も人生も楽しんでいい…「経営の常識」が覆った日
その後私も何度かハワイに行く機会があり、そこで知り合った歯科医院の院長や経営者たちとの出会いが、私の価値観そのものがひっくり返ってしまう人生最大の転機となります。
驚いたことに、そこで出会った院長や経営者たちは平日に自分の医院を閉めないでハワイに来て、仕事も人生も楽しんで経営も成功しています。そんな経営の仕方があることを知り、私は目からうろこが落ちた気持ちになったのです。
当時の私は「院長は医院にいてすべてをチェックし誰よりもスタッフのために頑張らなくてはいけない」という考えでした。また人生は苦労しなければ良くならないと思い込んでいました。
しかしハワイで「仕事も人生も楽しみながら幸せになれる」方法があることを知り、私の価値観は180度ひっくり返ってしまったのです。
自分の考えだけが正しいわけではなく、正解は1つではないのだと勉強になりました。みんなそれぞれ得意なところや良いところをもち寄り、歯科医院を運営していこうという考えに変わっていきました。
またハワイで出会った先生に「福利厚生は大事だ」ということを教えてもらい、私の歯科医院でも社会保険やボーナス、退職金を充実させました。