スタッフに仕事を「任せる」意味
人材を育成するうえでスタッフに仕事を「任せる」過程は必ず通る道です。私の医院では1年目のスタッフには仕事を覚えて慣れてもらうことを最優先にし、2年目からやる気のあるスタッフには、新しい仕事を任せたり私の仕事を手伝ってもらったりします。
仕事を任せる目的は、責任感をもち深く関わることでやりがいを感じてもらうことです。また責任をもって仕事に関わることで医院に愛着が湧きます。
仕事を任されると責任感は間違いなく育ちます。与えられた仕事をするだけではなく、自分で考えて仕事をやり遂げることにより責任感は生まれるのです。また仕事に関わる過程で人の役に立ち感謝されることでやりがいを感じられます。さらに良くしていこうという思いも湧いてきます。
仕事を任せるときは1つ任せてみてやり遂げられるか、丁寧なのか雑なのかなどを見ます。最初から大きな仕事を任せるのではなく、小さなものから段階的にお願いするようにしています。
最初はもし失敗しても大きな痛手を負わない仕事から始めます。小さな仕事をやり通せなくては大きな仕事をやり通すことはできないので、まずは簡単なものから任せます。やり遂げるたびに仕事が大きくなり責任も重くなっていくのです。
例えば、レクリエーション企画や日々の伝達事項から始め、訪問診療に行く車のラッピングや書類作り、スタッフ管理などに進みます。
次の段階では新しい機械について導入する前に勉強して現場に落とし込む仕事です。そして次は訪問診療全体のスケジュール管理、持っていく機器や資材の選定や分院開設準備などすべてを任せます。
やり方を教えて仕事を任せ、自分で考える訓練をしてもらいます。魚釣りにたとえるなら、魚を釣る方法のみを教えることで、あとは本人に任せて一回糸を垂らすごとの失敗と成功、釣果の多寡による喜びや落胆などを経験してもらうということです。
自分で考えながら試行錯誤して仕事を覚えていくことは大切なことです。「指示待ちにならないように、自分で考えて動いてね」とスタッフには言っています。
「言われたからやりました」ともしもスタッフに言われたら、「なぜ、言われたからやるの? 言われても自分でおかしいと思ったらやらなくてもいいんじゃないの?」とスタッフに伝えます。そうすると自分で考えるようになるのです。
仕事を任すことは時に経営者として試されていると感じることがあります。自分でやったほうが速いなと思うことがあったり、失敗すると余計に手間も掛かるなと手を出したくなったりします。
けれども失敗しても私が取り返せる範囲でやり遂げてもらうことで、スタッフ自身が成長することが大切だと考えています。それが医院の成長には不可欠なのです。
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