女性の離職が多い原因は結婚よりも「人間関係」
女性スタッフを採用できたとしても、経営者が女性スタッフとの日々のコミュニケーションに問題を抱え、それが原因で離職されるケースは少なくありません。
日本歯科衛生士会の調査では、勤務先変更の理由として「結婚」が29.3%、「経営者との人間関係」は29.0%でした。歯科医院に勤める歯科衛生士に限っていえば、「経営者との人間関係」は38.8%にもなっています※。
※ 日本歯科衛生士会「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」(令和2年3月)
特に男性歯科医師や経営者は、女性だからという理由で気を使って叱れない、辞められると困るから嫌われないようにしなくてはいけない、または夫や子どもを理由にされると強く言えないなどの悩みをもっていると思います。
例えば「指示しなければ動かない」女性スタッフがいても、注意をすると機嫌を損ねられることを恐れて、当たり障りのない言い方をしたりします。体調面のことを言われれば強く言えないですし、夫や子どもが理由で早く帰りたいと言われれば了承してしまいます。
1人に了承すればほかの女性スタッフにも同じように了承しなくてはいけなくなり、女性スタッフが急に休んだり早退したりすると予約患者様を安定して診ることができません。そうなれば経営にも影響が及びます。
女性スタッフにものが言えない、ノーと言えない、さらに医院内の規律が乱れるといった状況は、そもそも経営者と女性スタッフの両者がお互いに意思疎通を図れていない、コミュニケーションが成り立っていないということです。
うまくコミュニケーションを取れず信頼関係をつくることができなければ、女性スタッフを採用しても辞められてしまいます。人員確保と離職防止ができなければ経営安定の道はないも同然なのです。