女性に限らず…歯科衛生士の半数が「2回以上転職」
女性スタッフを採用しても「すぐに辞める」「定着しない」と悩む歯科医院の経営者は多いと思います。
実際に日本歯科衛生士会の調査によれば、「勤務先を変わったことはない」と回答したのは22.2%で、転職したことが「1回ある」は21.4%、2回以上ある人は55%となっています。歯科衛生士の7割以上は転職を経験し、5割は2回以上勤務先を変えていることになります※。
※ 日本歯科衛生士会「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」(令和2年3月)
せっかく採用できたとしても、定着しなければ採用コストや教育なども無駄になってしまいます。
スタッフの入れ替わりが頻繁にある職場は、ほかのスタッフにも良い影響はありません。女性スタッフのなかには「あの人が辞めるなら私も辞めよう」と便乗したり、同僚や親しくしていた先輩が辞めることでモチベーションが下がったりする人もいます。
毎日一緒に働く誰かの退職が自分の将来について考えるきっかけとなり、他医院への転職や職種を変えることを考え始めるのです。そして治療に集中できなくなればミスもしやすくなり診療に影響が出ます。
患者様に対しても「人の入れ替わりが多い」医院は信頼を落とすことになりかねません。いつ行っても同じ顔ぶれの女性スタッフに出迎えてもらえることは、患者様にとって安心して通えることからリピートの一因となるのです。
それは医療サービスに限ったことではなく、店舗でもホテルでもどの業種でも同じことがいえます。
単に採用するだけではなく採用したスタッフが定着して初めて人材が確保できたことになります。定着にも採用と同じくらい力を入れて取り組まなければならないのです。
採用してもすぐに辞められることが繰り返されるようであれば、経営者はいつも採用業務に追われていなくてはいけません。
たった1人の女性スタッフの離職は、ほかの女性スタッフの心を揺るがし、患者様からの信頼にも影響し、経営者を多忙にさせる要因となるなど、その影響は想像以上に大きいものがあります。採用したスタッフの離職はなんとしても防がなくてはいけないのです。
村瀬 千明
歯学修士
日本矯正歯科学会認定医