利益率が高い「予防業務」を担うのも女性スタッフ
歯科の業務で歯科衛生士が活躍する業務の一つに「予防」があります。むし歯治療が終わったあとの予防やリピートの領域は、歯科衛生士が担う分野となっています。
私の歯科医院では安定した売上を確保するために、継続した予約確保と利益率の高い予防歯科中心の診療を行っています。歯科衛生士による予防歯科で、近い将来の予約枠、すなわち医院の収入源の確保が見込めます。そのため女性スタッフの役割はとても重要になるのです。
また社会全体の傾向として歯は予防が大切だということが浸透してきました。高齢になって歯が悪くなってから苦しむより、悪くなる前に歯医者にかかったほうがいいに決まっています。人生100年といわれる超高齢社会では、予防歯科は今後ますます社会的課題になると考えています。
日本は世界をリードする超高齢社会であり、今後需要の増加が予想される歯科医療の分野としても予防や高齢者が挙げられています。歯科医院に通えなくなった高齢患者様のフォローである訪問診療の需要も伸びていくと思います。
2017年の厚生労働省の調査によれば(※)、居宅および施設への訪問診療をしている歯科医療保険機関(病院を含む)は全国平均で21.8%でした。
※ 厚生労働省「平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」
日本歯科医師会が2020年10月に発表した「2040年を見据えた歯科ビジョン―令和における歯科医療の姿―」(※9)によれば、歯科医院で治療を受ける人の人口10万人に対する割合は、70〜74歳をピークにその後は減少傾向となっています。75歳を過ぎると歯科医院へ自ら足を運べなくなる患者様が増えるのです。
※ 日本歯科医師会「2040年を見据えた歯科ビジョン— 令和における歯科医療の姿—」(2020年10月)
歯科医院へ通院できなくなった高齢者の受け皿として、訪問診療があります。しかし要介護者で口腔健康管理が必要な人の割合は同資料(※)によると64.3%なのに、そのうち実際に歯科治療を受けた人は2.4%にとどまっています。需要があるにもかかわらず、供給がまったく追いついていない実態が数字に表れています。
※ 日本歯科医師会「2040年を見据えた歯科ビジョン— 令和における歯科医療の姿—」(2020年10月)