歯科医院の経営に「女性スタッフ」が不可欠なワケ
歯科医院の経営者のなかには、スタッフ全員で医院の運営をしているのにもかかわらず歯科医師を尊重し優遇しがちな人が多くいます。しかしスタッフ全員が必要であり誰が欠けても歯科医院は成り立ちません。
歯科衛生士は歯科衛生士、歯科助手は歯科助手それぞれの職種で各自が仕事を全うし、かつ協力し合いながら患者様の治療に当たっています。歯科衛生士、歯科助手、受付のほとんどが女性スタッフです。
歯科衛生士も歯科助手も私の医院はすべて女性です。男性からは採用応募すらきたことがありません。
また、患者様が来院してから帰るまでの流れを見てみると、患者様といちばん長く接しているのは間違いなく女性スタッフです。
女性スタッフは、まず受付で患者様を出迎えてからチェアへ案内します。患者様がチェアに座ってから経過を質問するなどします。医師が治療をしている間もずっと患者様に寄り添い、施術後は注意事項や今後の方針などの説明をします。
治療が終わって会計と次回の予約を行い、見送って終わりです。患者様は医院のドアを入ってから出るまで、女性スタッフと接していない時間がないくらいです。
患者様が納得して治療を受けられるかどうかは女性スタッフの対応に掛かっています。第一印象である受付の対応が好ましくなければ、「受付の対応が悪い」と口コミに書かれます。
もしも女性スタッフが不親切だったり十分な説明をしなかったりしたら、治療が終わればリピートしないで次からほかの歯科医院へ行くことも考えられます。リピートも口コミも女性スタッフの対応次第になりやすいというわけです。
満足度を左右する…医師の技術より大事な「患者対応」
一方で歯科医師の技術に関しては、専門知識のない患者様からは判断しづらいものです。
たとえ腕の良い歯科医師だとしても、患者様にとっては痛いか痛くないか、丁寧に診てくれているかが重要なのです。
またベテランの医師が施術すると5分で終わる治療でも、若手の医師がやると30分掛かることもあります。しかし患者様としては5分で終わられるとぞんざいに扱われているような気持ちになり、30分掛けてもらえれば丁寧に扱ってくれたと感じる人も多く、歯科医師の腕の良し悪しで判断されないことも日常的にあります。
患者様がどこで判断しているかというと、歯科衛生士や歯科助手の対応です。私の医院では、医師から患者様には最低限の説明にとどめ、どの患者様にも共通する内容はすべて歯科助手が説明をします。歯科医師によって患者様への説明の違いが出ないようにするためです。
患者様に満足してもらうためには、歯科助手に高い説明能力が求められるのです。歯科助手が歯科医師の説明の力量不足をカバーすることもあります。
また歯科医師の説明時間や力量に差が出ると、患者様からの指名に偏りが出てきます。指名が偏るとその歯科医師が休めば予約が空き、辞めれば患者様が離れます。
これは医院経営の死活問題になりますので、どの歯科医師が担当しても同じように治療されていると患者様に感じてもらうためには、女性スタッフの対応や説明が重要になってくるのです。
歯科医師による治療と女性スタッフによる説明の両方が、患者様の医院に対する評価の対象になります。歯科医師の腕の良し悪しのみが患者様の評価に直結するわけではないのです。
初めから終わりまでずっと患者様に接している女性スタッフが、患者様の満足度やリピート率を決めているのです。