「プライミング効果」潜在意識を操り、勉強効率を高める方法 (※写真はイメージです/PIXTA)

脳に、ある潜在記憶を落とし込んでおけば達成や成功のイメージが、実現のために今この努力が必要なのだと無意識のうちに教えてくれたり、後押ししてくれたりして、モチベーションの維持にもつながります。記憶力日本選手権大会6回の最多優勝者の池田義博氏が著書『世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

「プライミング効果」を利用した勉強方法

私から山田さんにアドバイスしたのは、実は記憶法や学習法のような技術的なものだけではありません。山田さんの場合、最終目標は資格試験の合格です。合格するためには、長期間の勉強が必要になってきます。

 

過去に同じような経験をされた方ならわかると思いますが、長期の試験勉強を乗り切るには、学習に関するテクニカルな要素だけでなく、気持ちの占める割合がとても大きいのです。場合によっては、勉強の習慣化やモチベーションの維持というようなメンタルに関するコントロールのほうが、テクニカルな面よりも重要ということもありします。

 

しかし、当然ながら、これは意志の力を必要とします。自分を戒めて意志力をキープするのは、なかなかに至難の技です。

 

では、意志力を使わず目標に向かって最適な行動を促すことができるなどと都合のいい方法はないのでしょうか。それが、あるのです。

 

山田さんのケースに限らず、目標達成に向けて成功の確率を上げる方法を心理学的見地から導くことが可能なのです。簡単にいうと、自分の脳に自動運転してもらうイメージです。ここで紹介する心理学的効果を、「プライミング効果」といいます。

 

プライミング効果とは、事前に体験・経験したことが、その後、思考や行動に対して無意識のうちに影響を及ぼす効果です。無意識のうちにある方向に動くことになるので、脳による自動運転というわけです。この効果の基になるのは、頭の中にすでに保管されている「記憶」です。

 

しかし、ここでいう記憶とは、これまで説明してきたような意志をもって覚え、その後、意識的に取り出すことができる記憶とは少し違います。「潜在記憶」といって、頭の中には入っているけれども、自分では意識していない情報の記憶のことを指します。

 

皆さんは普段、この潜在記憶などまったく意識せず暮らしていると思います。しかし、実は皆さんの行動は、無意識に潜在記憶によって決定していることが往々にしてあるのです。ただ、それに気付いていないだけなのです。

 

身近なケースで説明すると、例えば夜に食べ物特集のテレビ番組を観たとします。テレビを観ているだけなので、特にこれを覚えようなどとは考えません。ところが、無意識にその記憶が頭の中に残り、その影響で次の日の昼食のメニューを決めるということがあります。本人は自分の意志で決めたと思うでしょうが、実は、前の日の潜在記憶が多分に関わっているということなのです。

 

もう1つ、プライミング効果の影響が大きいという例を紹介します。プライミング効果が実際の行動に影響を与えることを示す実験の結果です。

 

ニューヨークの大学生に、5つの言葉の中から4つの言葉を選んで、それを使って短文を作ってもらうという実験をしました。その際、あるグループに対してのみ、言葉の中に高齢者を連想させるような、例えば「忘れやすい」「髪が薄い」「しわ」といった言葉を混ぜておいたのです。

 

そして、文章作成が終わったあと、学生たちに次の実験があるからといって別室に移動させるのですが、実はこのとき、学生たちの移動時間を密かに測定していたというわけです。その結果、高齢者に関する言葉をたくさん使うことになったグループは、実際に歩く速度が他のグループに比べて遅くなったという結果が出たのです。これは、高齢者というイメージを持つことによって、実際の行動自体に無意識に影響を与えたということを示しています。

 

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    記憶力日本選手権大会最多優勝者(6回)
    世界記憶力グランドマスター

    一般社団法人記憶工学研究所 代表理事/所長、世界記憶力グランドマスター、ライフキネティック日本支部 アンバサダー、アクティブ・ブレイン協会 テクニカルディレクター。
    記憶法との出会いをきっかけに記憶という能力に興味を持つ。独自に研究、トレーニングの末、初出場にもかかわらず2013年の記憶力日本選手権大会にて初優勝。その後、2019年まで出場した6大会にてすべて優勝。また、2013年にロンドンで開催された世界記憶力選手権において日本人初の「世界記憶力グランドマスター」の称号を獲得。現在は記憶能力も含め、多くの人の「脳力」向上に貢献することを自身のミッションとして活動中。テレビ・ラジオの出演および著書多数。
    一般社団法人記憶工学研究所
    https://mei.or.jp/
    池田義博オフィシャルサイト
    https://ikedayoshihiro.com/

    著者紹介

    連載誰にでも簡単にできる「記憶能力アップ」法

    本連載は池田義博氏の著書『世界記憶力選手権グランドマスターの 驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

    世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法

    世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法

    池田 義博

    日本能率協会マネジメントセンター

    在宅勤務など個人単位で働く機会が増え、従来よりも個人の成果に焦点があてられ、成果物の質を決める「思考力」が要求されています。まずは頭の中の知識・情報の量を増やし、これらを有機的に結び付け、価値のあるアイデアを生…

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