(※写真はイメージです/PIXTA)

医師になり40年。定年退職後、北海道で初めての「こども便秘専門診療」を始めた小児外科医の感動のエピソード。
※本記事は、宮本和俊氏の書籍『たたかうきみのうたⅢ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

「一生……心配……」すすり泣く母だったが

4回目の手術となり、母はすすり泣きながら、「一生……心配……」

 

4回目の手術も胸から横隔膜に向かい行いました。前回の人工膜に加え今度はリセちゃんの成長を見込み、パラシュートのように余裕を持たせた人工膜をかぶせました。そして、再発はここで止まっています。

 

リセちゃんは小学生、中学生となり外来は終了しました。その後は時折リセちゃん親子と大学近くの本屋さんで遭遇しました。お辞儀をかわす程度でしたが、嬉しかったです。大きくなったけどコロンとした体型となり、生まれついての明るい色のくるくるヘアーがますますすごいことになっていました。

 

聞きたいことや話したいことはいっぱいあったけれど……時は過ぎていきました。そして今、小児外科外来に22歳2ヵ月、すらりと背の高いお嬢さんとなったリセちゃんが母とともに外来に入ってきました。

 

母は宮本を見るなりまたもや目に涙を浮かべています。まるで条件反射のよう(?)。でも今日の涙は今までと違う涙でした。思わず宮本も過去がフラッシュバックしてしまいましたが、救いはリセちゃんです。明るく楽しい会話が続きました。

 

「え~~髪の毛はね、中学生くらいから背が伸びるに従って、少しずつ黒くまっすぐになってきたの!」

 

宮本の書いた本2冊を手渡そうとすると、母は、「2冊とももう買って読みました、泣きながら……」

 

すかさず横からリセちゃん、「私も欲しい! サインしてもらったこの2冊は私が持つから、前の本はお母さんが持ってて!」

※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『たたかうきみのうたⅢ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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