スパイに学べ…ビジネスにおいて「諜報スキル」が無視できない理由【元防衛省情報分析官が解説】

スパイに学べ…ビジネスにおいて「諜報スキル」が無視できない理由【元防衛省情報分析官が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

極限状態の中、どんな困難なミッションも完遂する「諜報員」。その成功の秘密は、「成果が出る“型”」を頭の中に入れていることにあります。あらゆる仕事に応用できる、誰もが実践できる諜報員のテクニックを、上田篤盛氏の著書『超一流諜報員の頭の回転が速くなるダークスキル』(ワニブックス)より一部抜粋してお届けします。

 

CIAとFBIの違い――情報組織とは?

諜報員が所属している情報組織についてお話ししておこう。

 

情報組織の世界では「情報を活用する積極的活動(積極的情報活動)」と「情報を相手側から守る消極的活動(消極的情報活動)」に区分されるが、米国では前者を行なう代表的な組織がCIA、後者がFBIである。英国ではMI6が積極的活動に従事し、MI5が消極的活動に従事する。ロシアではSVRが積極的活動を、FSBが消極的活動を行なう。

 

このように、諸外国では積極的活動と消極的活動を行なう両方の情報組織を有しているのが一般的である。CIAを例に、対外情報組織について説明していく。

 

CIAは情報を収集、オールソース(すべての情報源)分析に基づくプロダクト(資料)を作成し、大統領の命令・指示により効果的な秘密工作活動を実施する。また、国の安全を保つために役立つ秘密を守ることにより、米国の国家安全保障の目標を推し進める。

 

ここで働く要員は2万人以上であり、予算規模は年間約150億米ドルにもなる。その組織は、分析部、作戦部、科学・技術部、デジタル・イノベーション部、支援部の5部とミッションセンターからなる。

 

 

中でも主要な部署が、分析部と作戦部である。分析部は入手した情報を分析し、それをインテリジェンスに変化させて提供し、政策立案者の意思決定を支援する。作戦部は、人的情報源から得られた情報(人から得た情報)を収集整理するが、必要に応じて大統領の命令により秘密工作を行なう。危険な状況下でミッションを行なうのが作戦部の要員である。

 

他方、分析部で働く情報分析官などは、一般的には外国に出て身分を隠してヒューミント諜報(人から情報を得るなどの活動)を行なうことはない。謀略あるいは秘密工作などは行なわない。

 

彼らまで諜報員と呼ぶことにはやや抵抗がある人もいるかもしれないが、組織全体で見るならば、彼らが情報分析を行ない、彼らがつくるインテリジェンスが現場の諜報員の行動の拠り所となる。

 

分析部の要員も諜報活動や秘密工作に関与しており、彼らも本書では諜報員として扱うことにする。

 

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本連載は、上田篤盛氏の著書『超一流諜報員の頭の回転が速くなるダークスキル』(ワニブックス)から一部を抜粋し、再構成したものです。

超一流諜報員の頭の回転が速くなるダークスキル 仕事で使える5つの極秘技術

超一流諜報員の頭の回転が速くなるダークスキル 仕事で使える5つの極秘技術

上田 篤盛

ワニブックス

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