(※写真はイメージです/PIXTA)

「親に数年会っていない」「家族との仲が悪い」──こうした状態が、「成年後見」を招く要因となります。また、多くの人にとって「相続」と「認知症」は人生後半における大きな課題です。もし、この二つの課題が同時期に重なってしまうと──資産が凍結されて「自分のお金が使えない」という最悪の事態を招いてしまいます。石川秀樹氏の著書『家族信託はこう使え 認知症と相続 長寿社会の難問解決 』(ミーツ出版)より、人生において知っておくべき「相続と認知症」「成年後見」に関して書かれた箇所を、一部抜粋してお届けします。

 

 もうひとつ、成年後見制度については指摘しておきたいことがあります。こちらの方が「救済」という観念よりももっと重要。それは、親への無関心と家族の不仲が成年後見を招く要因になる、ということです。単に凍結防止なら、家族の結束があれば成年後見制度以外にいくらでも方法があったのに、この大掛かりな制度以外にもはや親の老後を守る手立てがない、というところまで追い込まれてしまった、ということを意味します。

頑丈すぎて敬遠される? 成年後見

わたしたちは通常、お金を動かせる状態を維持するためにいろいろなことをします。

 

お金の“動かし役”を家族が務めるのと、そこに第三者が介在してくるのとでは、負担感がまるで違うことをわかっているからです。「成年後見はちょっと……」と多くの人がたじろぎます。何しろ、成年後見の後ろ盾は家庭裁判所ですから。そして後見人等に最近は、家族ではなく、弁護士や司法書士、社会福祉士、行政書士などの法律専門職が8割くらいの確率で選任されます。たかがお金の管理のために、なんとも頑丈な仕組みです。

 

「たかがお金の管理」ですが、逆にいえば、お金のことはそれほどの重大事だということでもあるんですね。親が認知症になると、ごくふつうの生活を送ってきた本人も、家族も、人生観が変わるくらいの激変に見舞われ、強い心身のストレスを受けるようになるでしょう。もちろん負担感は、本人がいちばん重いです。これから自分がどうなっていくのかさえわからないという不安を抱えているときに、《自分の預金がおろせない》という“大事件”に見舞われているのですから。

 

家族が代理して引き出すことは、心理的にはわずかなショックかもしれません。本人は財産を失ったとまでは思わないでしょう。でも認知症は進行する病気ですから、不安が募ればより完ぺきな凍結防止のために家族信託を使う人も出てきます。

 

一方、もはや親の状況が代理などでは通用しなくなったとなれば成年後見に踏み込まざるを得なくなります。すると家族信託では、重要な財産の一部を家族に託すことになります。一方、成年後見では財産の全部を他人に引き渡します。本人にとっては、どちらも大ショックでしょう。そんなことまでする理由は何でしょうか? 私たちは、そこを考えなければいけません。

 

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