不動産の売却を成功させる有効な方法の一つは、「建物データの可視化」によってすべてをオープンにすることです。それによって、建物の安全性・健全性をアピールすることができ、価値が高まるのです。本記事では、不具合が発覚しトラブルを抱えていた都内のマンションを、結果として高値で売却することに成功した二宮さん(男性・60代※仮名)の事例を紹介します。

大規模修繕で発覚した不具合をめぐり揉めていたマンション

売主である二宮さん(男性・60代※仮名)は、新築時に6,000万円で購入した築14年のマンション4LDKを売却したいと考え、不動産エージェントに相談しました。

 

マンションは200世帯ほどを擁し、都内の一等地に建っています。近年の都内マンション需要の高まりもあり、購入時とほぼ同額かそれ以上の価格で売れる期待がもてました。二宮さんとしても、なるべく購入額に近い価格での売却を望んでいました。

 

しかし、このマンションは、一つの大きな悩みの種を抱えていました。1年ほど前、大規模修繕のためマンションを囲うように足場を組み、建物調査を開始したのですが、その際に建物に大きな不具合が発覚したのです。

 

その不具合は建物の安全性を揺るがすもので、当初は「耐震等級2」で販売されたマンションでしたが、今回の調査によって「耐震等級1」にも満たないと診断されてしまいました。これはマンションの価値を大きく毀損する大問題です。

 

修繕を施し補強を行えば耐震性は改善されるわけですが、問題は、これに伴う莫大な費用を誰が負担するのかということです。マンションの管理組合が負担するのであればすなわち居住者が費用を捻出することになりますし、今後の修繕積立金も跳ね上がることが当然のように予測されます。

 

マンション居住者は、「施工した側のミスなのになぜ修繕費を負担しないといけないのか」と怒り心頭です。管理組合は専門家に依頼し、販売会社と施工会社が修繕費を補償するよう強く訴えかけました。

 

二宮さんからの売却依頼は、施工販売側と管理組合の間で協議が続いている渦中でのことでした。不具合が発覚したために売却したいのではなく、もともと売却目的の購入であり、そろそろ別の場所へ引っ越したい意向でした。マンション市場が活気付いているタイミングで売りたいが、修繕のことで揉めている今売るのは得策でもない気がしていて、どうすればいいかという悩みを抱えていたのです。

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