「売り時」を逃さないためにできること
しかし市場動向というのはフライング気味に前もって織り込まれるもの。政策金利が近々上がることを前提として、すでに市場は変動を始めている可能性も考えられるわけです。
利上げによって2023年以降、上がり調子だった日経平均株価に歯止めがかかり、右肩上がりの住宅市場にもブレーキがかかると予測するのであれば、今現在がピーク帯にあるととらえることができます。そこでこのタイミングで「試しに」不動産を売りに出してみるというのが得策ではないかと思います。ただし相場よりも上値で市場に出すことをお勧めします。
相場より強気な価格で買い手がつけばそれに越したことはありませんが、買いの声がかからなくても焦ることはありません。公開した不動産情報にどれだけのアクセスがあったのか、まずはそのデータを収集することです。1週間程度売り出してみて、見られているデータが多いようであれば、物色されている何よりの証拠なので、価格を据え置いて粘ることが大切です。あまりにもアクセスが少ないようであれば、すでにその地域での住宅市場はピークを終えていることがうかがえるため、相場近くにまで下げる方針に変えるのが望ましいです。
とはいえ、不動産情報へのアクセスが多いか少ないか、地域の住宅市場が加熱気味か冷え気味かは売主にはなかなか把握できるものではありません。ここでものをいうのが売却依頼した担当者の手腕です。売主を焦らせることなく、データや市況を見極めて価格の設定調整を冷静に提案してくれる、そんな担当者に出会うことで、売り時を見間違うことなく売却を実現することができます。
現在、あまりにも不動産は高くなり過ぎました。一方で、三極化はより深刻さを増していきますし、国の施策次第で不動産価格が一変することも考えられます。タイミングを逃すと命取りです。信頼できる専門家と二人三脚で、冷静な目線を忘れず不動産売却に臨んでいくことが大切です。
大西 倫加
さくら事務所 代表取締役社長
らくだ不動産株式会社 代表取締役社長
だいち災害リスク研究所 副所長
長嶋 修
さくら事務所 会長
らくだ不動産株式会社 会長