指示待ちから自分で考える社員へ
従業員については、今までの上の人が言うことに従っていく働き方から、自分で考えるように促すことから始めました。
次第に田村さんに相談を投げかける人も出てきます。その時は、こうするべき、といきなり言わないで、「何か疑問におもうことはないですか? 課題だと思うことはないですか?」とか相手が自分で考えるように仕向けます。徐々にではありますが、各人が自分の役割を全うするように変わってきました。
こうなるまでに田村さんが気を付けていた点を2つ教えてもらいました。①前職でのやり方を押し付けない。②人を指導する時は、命令するのでなく、その人に成長してもらいたいというオーラを出すように心がける。とのことでした。
田村さんが入社して5年目になるころから、次第に会社の文化も変わり、社長や田村さんが指示するのでなく、従業員が各自の役割を自覚し考える体質に変わってきたようです。
田村さんに大企業から中小企業に移ったことで感じたことを聞いてみました。
「前職で若く優秀な社員と仕事をしていましたが、今回の会社にも、同じように優秀な若者がたくさんいて、意見を交わしながら仕事ができるのが本当に楽しいです」
「彼らに、自分のようなシニアが今まで培ってきた知恵を教えて、成長のきっかけにしてもらいたいと思いました」田村さんの言葉に力が入ります。
「それから、再雇用でなく再就職を選びましたが、良かったと思います」
「長い間1社でサラリーマンをしていると、その環境に埋没してしまいます。そして新しいことにチャレンジしなくなります。それは成長が止まるという事になりますからね」
チャレンジできたことを喜ばれてました。
「それに、社長に評価してもらい最初の年収の150%になり、50%アップしました。シニアもやればできるんですね」
田村さんの顔がほころびました。
田村さんに今後のことを聞いてみました。
「従業員も各自責任をもって仕事をするようになりました。いろいろ苦労しましたが、もう自分の役割は終わったのかもしれませんね」
意外な答えでした。
「最近は外国人の留学生や卒業生が日本で働きたいと希望し、できれば日本で永住権をとりたいと思うケースも増えてきました。しかし上手くいかない場合も多く、やむなく帰国する人もいるのです。そんな人のためにNPO法人を立ち上げてサポートしていこうかなと思っているのです」と目を輝かせながら語ります。
今の仕事の中から自分の今後やるべきことが見えてきたようです。与えられた仕事を着実にこなし苦労も乗り越えてきた田村さん。そんな田村さんだから、きっと次のステージでも、人に寄り添いながら成果を出されていくことと思います。
田村さん、国際的なご活躍を期待しています。
【髙橋の感想】
田村さんは、まったく規模と業界が違う会社に転職されたケースです。前職では人事部門で評価制度と人材育成を専門にされていましたが、規模の小さい今の会社では培ってきた人事の専門知識が大いに役立ちました。
同時に専門以外の知識、スキルが要求されました。そこを自ら学び対応されたことが良い経験になり今後の展開につながっています。
大きな会社では仕事が専門分化されていることから、1部の仕事しかできないことが多いですが、小規模組織では、いろいろな仕事が経験でき、しかも頼りにされます。田村さんはそういう中、創意工夫し、諦めないで継続することで、成果を出し、信頼関係を深めてこられました。また様々な仕事を経験する中で次のやりがいを見つけられました。
今までと同じ路線で仕事を選択するのでなく、まったく違う環境で自分の得意なことを活かすのも一つの良い選択肢だと思いました。
髙橋 伸典
セカンドキャリアコンサルタント
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