(※写真はイメージです/PIXTA)

税務調査官が口にする「立派なお庭ですね」「トイレ借りてもいいですか?」などの言葉は、単なる雑談ではありません。黒田悠介税理士(税理士法人Bridge 代表)が、よくある税務調査官の質問と、そこに隠された意図を解説します。

税務調査官の“何気ない質問・雑談”にご用心

税務調査官は税務調査に不慣れな相続人の緊張をほぐそうと、「今日はいい天気ですね」「駅から近くていいですね」などの何気ない雑談をしてきます。でもこれは税務調査官がアイスブレイクのためだけに皆さんに雑談をしているだけではありません。彼らの仕事は税金を追加で徴収することです。その質問・雑談の裏には、税金を追加で取ろうとする意図が隠されたものも多いのです。以下にその代表例をご紹介させていただきます。

①「立派なお庭ですね」

単に褒めているわけではありません。その立派な庭園にある立木や置物に財産価値があるのでは? 相続財産から漏れているのでは?という観点から質問がされています。ついうっかり、「父の趣味で費用がかさんで大変でした」などと言ってしまうと、「なにが高かったのですか?」「その立派な松については追加で申告してください」などの話へ繋がっていってしまいます。

②「トイレを借りてもいいですか?」

調査は長丁場ですので、もちろん普通に調査官がトイレに行きたい場合もあります。ただ、そこは税務調査のプロ。彼らが本当に見たいのは、トイレにあるカレンダーやタオルなど。そしてそこに書かれている金融機関の名前です。贈答品に書かれている企業名をチェックすることで、申告漏れがある銀行や証券会社をリストアップしているのです。また、月カレンダーに記載されているメモからも追加の情報を得ようとしています。

③「亡くなられた旦那さんのご趣味は?」

趣味を確認していくことで、故人が派手な、あるいは地味な暮らしぶりだったかを確認してきます。派手な生活であったなら、高級時計や宝飾品、高級車を所有しているケースが多いですので、調査官はそこに着目していきます。また「ゴルフが趣味でした」と答えれば、「ゴルフ会員権があるのではないか?」、「釣りが趣味でした」と答えれば、「船を所有しているのではないか?」と、故人の趣味に関連した財産が漏れていないか?を税務調査官は確認しているのです。

 

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