社用車に選ばれる「高級車」といえば…
経営者が乗る社用車では「レクサス」「ベンツ」「BMW」「ポルシェ」など、1,000万円を超える名だたる高級車が多く見られます。中には、「フェラーリ」「ランボルギーニ」「ベントレー」といった最低3,000万円はする超高級車も選ばれています。
もちろん、グレードやオプションによって値段はまちまちですが、各車の値段はこんな感じです。
●レクサス IS300h 600万円~/LS500h 1,500万円~
●ベンツ E200 900万円~/S-Class 1,500万円~
●BMW M550i 1,400万円~/iX M60 1,800万円~
●ポルシェ Cayenne 1,500万円~/911 2,000万円~
●ランボルギーニ ディアブロ 3,000万円~/ウルス 3,500万円~
●ベントレー フライングスパー 3,000万円~/コンチネンタルGTC 4,000万円~
●フェラーリ 296GTS 4,300万円~/812 コンペティツィオーネ 6,900万円~
なぜ経営者は、数千万円もする高級車を社用車に選ぶのでしょうか? そこには、高級車ならではの“営業に使える”というブランディングや快適性・安全性といった理由以外にも、「節税」「減価償却」「リセール」というワードが大きく関わっています。
減価償却による節税とは?
税金の計算において、自動車は高額かつ1年以上使用可能な資産なので、固定資産(減価償却資産)に計上されます。そのため消耗品等のように、全額をいっぺんに経費に計上することはできませんが、「減価償却」という方法によって数年間に分けて経費にすることができます。
「減価償却」の計算方法には定率法・定額法があり、車は原則として定率法で計算することになります。
【定率法の計算式】
減価償却費=(取得価額−償却累計額)×33.3%(耐用年数6年の償却率)
新車を購入した場合、初年度に購入金額の約33%が経費になり、その後5年かけてほぼ全額が経費となっていきます。また4年落ちの車であれば、その償却率は100%で、使用してから1年間でほぼ全額を経費にすることができるのです。この「短期間の中で大きく経費が計上できる」というのが、自動車の節税ポイントです。4年落ちの車の場合、500万円の車でも、3,000万円の車でも1年間で全額が経費になる点は同じです。そのため経費効果が高い高級車が選ばれるのです。
4年落ちの高級車は「買う⇒売る⇒売却資金でまた買う」が可能
フェラーリやランボルギーニといった超高級車の場合、時間が経過しても車の価値はほとんど落ちません。仮に中古車として3,000万円ほどで購入したとしても、2年後にほぼ同額で売却することができるケースもあります。
中小企業の経営者は4年落ちの中古で、超高級車を購入し、1年間で全額を経費に計上します。その後、しばらく乗ったら買ったときとほぼ同じ値段で売却します。そして、その売却資金を使って新たに中古の高級車を購入します。
これを繰り返すと、ほぼ追加の資金を使わず高級車に乗り続けられます。経営者たちが社用車をあえて高級車としているのは、こうしたリセールバリューの高さがあるからなのです。
高級車なら「個人へ売却する」という節税方法も
そのほか社用車として高級車を購入するメリットは、事業で使用しなくなった自動車を経営者が「個人」で安く買い取ることができる点です。直接の取引なので、市場で買うよりも安い金額で購入ができます。もちろんあまりにも安い金額での取引は、税務署から指摘を受ける恐れもありますが、きちんと説明できる範囲であれば、安く購入できた分=無税で収入を得たのと同様の効果が生まれ、結果として節税できてしまうのです。
そもそも、なぜ高級車が「会社の経費」で落ちるのか
かつて、フェラーリやランボルギーニなどの2ドア超高級車は、「個人の趣味嗜好の範囲」という理由から経費にできないという風潮もありました。しかし、平成7年10月の国税不服審判所のいわゆる「フェラーリ裁決」で超高級車の実務上での取り扱いがある程度明確になりました。
この裁決では、経営者が2,000万円超のフェラーリを社用車とし、その減価償却費を経費として計上していました。税務調査の際、税務署はこのフェラーリの経費計上を認めませんでした。しかし納得いかなかった納税者が国税不服審判所に訴え、その裁決によって経費計上が認められたというものです。
経営者が個人的な趣味で選んだ高級車であっても、会社としてビジネス利用の実態があれば、その経費は認められるということを国税不服審判所が示したのです。
とは言っても、「社用車」とすればなんでもかんでも経費として認められるわけではありません。経費に認められない場合には、その車の代金は、経営者に対する「賞与」の扱いになり、法人税・所得税・加算税と重い税負担がかかってきます。
実際、社用車として購入した高級車を、経営者本人が利用しておらず、その妻が使用し、経費として認められなかった別の裁決もあります。
経費として認められるための条件
経費として認められるためには、前提として「ビジネスで利用していること」「その記録を保管しておくこと」が重要です。先の「フェラーリ裁決」では、
●社用車とは別のプライベート用の車を個人名義で所有していた
●運転記録を残しており、社用のフェラーリは業務でのみ使用していた
という点が、経費として認められた裁決に大きく作用しています。
個人利用・ビジネス利用できっちりと分け、社用車はビジネスで利用している記録をしっかり残すことが経費計上のための注意点です。
また最近では、別の争点で超高級車は「時間経過により価値が落ちない」=「減価償却資産でない」ので経費にならないと主張される税務調査もありますので、しっかり車として使用している実態を残すことも重要です。
ちなみに高級車だけでなく、たとえば船舶(クルーザー・モーターボート)もよく税金対策に使われています。船舶も高級車と同じく、①高額で ②短い期間で減価償却ができ ③リセールバリューの高い資産、として経営者に好まれています。もちろん経費計上を認められるためには、車同様にビジネスで利用している(接待や従業員の福利厚生など)実態が必要です。ほかにもジェット機やヘリコプターを利用した同様の節税対策があります。
華やかさ・ステータスといった魅力だけではなく、実は「節税効果」を狙って購入されている高級車。経営者としては趣味と実益を兼ねられるいい「スキーム」なのです。
黒田 悠介
税理士法人Bridge 代表
税理士・政治資金監査人
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