役員賞与スキームの注意点
このように、役員賞与スキームは、社会保険料の節約につながることがありますが、2点、注意しておかなければならないことがあります。
1. 「事前確定届出給与」にしないと会社の経費(損金)に算入できない
2. 退職金支給時に経費にできる額が抑えられるおそれがある
◆注意点1. 「事前確定届出給与」にしないと会社の経費(損金)に算入できない
まず、「事前確定届出給与」として税務署への届出を行わないと、会社の経費にできません。
すなわち、役員賞与は原則として経費にできません。なぜなら、それを認めると、恣意的に役員賞与の額を大きくして法人税を低く抑えることができてしまうからです。
ただし、例外として、あらかじめ金額と支給日を決めて税務署に届出をしておけば、会社の経費にすることができます。これが「事前確定届出給与」です。
この手続きをしておかないと、役員賞与の分について法人税が取られてしまうことになり、役員賞与スキームを利用する意味がなくなってしまいます。
◆注意点2. 退職金支給時に経費にできる額が抑えられるおそれがある
次に、退職金支給時に経費にできる額が抑えられてしまうおそれがあるということです。
すなわち、退職金には経費にできる額に上限があり(損金算入限度額)、それは報酬月額を基準として決まります。
たとえば、今日もっともよく用いられている「功績倍率法」であれば、計算式は以下の通りです。
したがって、報酬月額があまりに小さいと、退職金の損金算入限度額も抑えられ、それを超える部分の額が税務署から否認される可能性があります。特に、勇退の時期が近い場合は、おすすめできないといえます。
このように、役員賞与スキームを活用すると、社会保険料の節約につながることがありますが、その半面、あとで退職金の額等にマイナスの影響を及ぼす可能性があることを承知したうえで、活用する必要があります。
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